海に繋がる川②
城塞都市オストプロシアの北に川が確認され、さらに北方には海がその存在を明らかにされた。猪頭鬼がいなくなった今、臆することなく調査隊は川と海の調査を繰り返し、その水が飲用に適すること、そして多数の魚たちが存在することを突き止めた。
「猪頭鬼どもはこの魚を食して飢えを凌いでいたのだと思われます。魚だけで満足していれば良かったものを、我々人間に要らぬちょっかいを出すから全滅の憂き目に逢うのです。」
特に用が無くても療養院参りを止めない、大男の『爆炎術師』ゲオルグが小夜たちに雄弁を振るっていた。ゲオルグの存在に面白くなさそうな表情を隠そうともしないヴィルヘルムを尻目に、
「つまり、その魚たちは食べられるってことですよね。」
とヴェルナーが目を輝かせた。城塞都市オストプロシアに派遣されて以来、チーズ入りの大麦粥と酸っぱいキャベツの酢漬けの定番メニューに飽き飽きしていたヴェルナーは嬉しそうだった。先日の祝勝会で久しぶりに肉を味わい舌が肥えたヴェルナー、次は魚を所望しているようである。
「でもどうやって捕るんですか?」
からかうように口を挟むテオドールにムッとしながらヴェルナーは言い返した。
「道具さえあれば、食べきれないほど捕ってきて見せるさ。」
そんな矢先、珍しく小夜以外を呼ぶものが療養院に現れた。
「ゲオルグ殿、すぐに領主様の元へお願いします。」
火急の用を告げに来た兵士に連れられて、ゲオルグは療養院を後にした。




