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No Name's Trust  作者: 大道福丸
禁忌の魔石と不死殺しの炎
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目覚める者

「急げ!急げ!ゴー!ゴー!ゴー!!」

 ヘリの中でアピオンが荒ぶる!

 とある理由でトモル・ラブザを含むウレウディオス一行は深い森の上をヘリで疾走していた。

「まるでデジャブやな、タリクの時と……!」

「あぁ、あの時と同じで完全に予想外の出来事だ……壊滅したはずの『テュシア盗賊団』が再び動き出すとは……!」

 トラウゴットは言いながら顔をしかめた。

「確か少し前に頭領である『マゼフト・テュシア』がどこかのトレジャーハンターと揉めて、殺されたと聞いていたんですが……?」

 トモルの問いかけに、メルヤミはコクリと頷いた。

「その通りよ……だから完全に油断していた。マゼフトのワンマンでまとまっていただけだと思っていたから、奴さえいなくなれば自然に瓦解していくと思ってたのに……!」

「烏合の衆の荒くれどもをまとめ上げられる存在がいたってことですね。もしかしたら……」

「マゼフトではなく、実質的にテュシアのリーダーをやっていたのはそいつかもな。自分は表に出ずに、裏から……だとしたら相当厄介だ」

 考えただけで頭が痛くなったのか、ジョゼットは目頭を抑え、トレードマークのドレッドヘアーを揺らした。

「何にせよ遺跡を荒らし、トレジャーハンターや調査部隊、果ては国家所属のAOFにまで牙を向くようなヤバい奴らを放っておくわけにはいかないわ」

「せやな……と、正義の味方なら言うところやけど、ワイらがやるべきことか?他の奴らに任せて、予定通りアーティファクト『アピディウス』のゲットに動いた方が良かったんちゃうんか?」

「ケントさんの人でなし……まぁ、ぶっちゃけぼくも同意見だったりするんだけどね」

 そう言いながらケントとトモルはチラチラとトラウゴットの顔を見た。

「……お前達は本当に……安心しろ、ウレウディオスが出さなくとも、ちゃんと金は手に入るはずだ」

「奴らに痛い目を見せられた国や企業、金持ち達がかけた多額の報奨金はまだ有効なはずだからね。今回の活躍に応じて、それを分配する……それでいいでしょ?」

「金なんてどうでもええ!この世界のために悪は滅ぼす!」

「ええ!平和のためにぼく達は戦う!!」

 打って変わって二人の目に炎が灯った……金ぴかの、下品極まりない炎が。

「こいつら……」

「まぁ理由はどうであれやる気になったのならいいわ。とっとと頭を失った毒虫どもなんて駆除して、元の任務に戻るわよ」

「「「おう!」」」

 搭乗者の熱気に当てられるように、ヘリは更にスピードを上げて行った。



「おお……これが禁忌の魔石……!」

 しかし、森の奥の洞窟の更に奥にある遺跡ではすでにテュシア盗賊団はお目当てのものを手に入れ、感嘆の声を上げていた。

「これがお前の言っていた『エレシュキガル』ね……オレにはただの変な紙にくるまった球体にしか見えないが……」

 身体の大きな盗賊団の中でも一際大きい男が、珍妙な球体を手にして歓喜に震える細身の男を訝しむように見つめた。

「そう思うのは仕方ないよ、『ナベシマ』。お前が言う珍妙な紙というのは封印のための札だ」

「言われて見ると……確かに札が重なって貼られているように見えるな」

「……七枚。どうやらこの七枚の札がエレシュキガルを守る最後の防波堤らしい」

「じゃあとっとと剥がそうぜ、『殷則(いんそく)』……って、そんな大層なもんをそう簡単にどうにかできるわけねぇか」

「あぁ、このわたしでも少し時間がかかるな。だが、こいつを手に入れるために準備した時間に比べれば大したことはない。じっくりとやるさ」

 殷則は元々性格の悪そうな顔を更に底意地の悪そうに見えるように変形させ、笑った。

「まぁ、石のことは石のスペシャリストであるストーンソーサラー殿に任せますよ。だけど、あんまりのんびりしてると、後で起きたカシラにどやされるぜ」

「……そこまで考えられる知能が残っていたらな」

「ん?今、何か言ったか?」

「お前の言う通りだなと同意しただけだ」

「……そうか。まぁ、オレは報酬さえもらえれば何でもいいんだけどよ」

「君のそういうところ、わたしはとても気に入っている」

 そう相変わらず人を不愉快にする笑みを浮かべながら言うと、殷則は封印されたエレシュキガルを懐に仕舞った。

「んじゃ、アジトに戻るか野郎ども!!」

「「「へい!!」」」

 ナベシマの号令に団員達が応え、そのまま一行はこの場から去る……はずだったのだが。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


「「「!!?」」」

 突如遺跡が激しく揺れ、一同の動きと思考を止める!

「なんだ!?地震か!?」

「いや……どうやら違うようだ。見てみろ」

「ん?」

 殷則が何もない壁を指差す。いや、壁が開き、何かが、棺のようなものが競り出してくる。

「あれは……」

「伝承にあった……エレシュキガルの守り人だ……!」


ブシュウゥゥゥゥゥツ!!


 その通りだと、言わんばかりに棺が開き、白い煙と共に綺麗な装飾の施された服と、二つの煌めく宝石が付いた杖を持った男が中から出て来た。そして……。

「選べ……大人しくエレシュキガルを返すか、この『オルコ』の手によって儚い命を散らすか……!」

 オルコはそう宣告すると、杖でテュシア盗賊団を突きつけた。


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