我が家には妖精が住んでいる
我が家には妖精が住んでいる。
それもかなりいたずら好きな妖精である。
どんないたずらをするのか。
とびぬけて多いのは、ものを隠してしまうことだ。
家のカギ、携帯電話。
買い物メモ、折り畳み傘。
郵便物に文房具。とまあ、あげれば枚挙にいとまがない。
なぜこれが妖精の仕業なのか。
普通に忘れっぽいだけじゃないの?
否定はしない。私は忘れっぽい。
だが、一通り探して、「○○を返してねー」と言った後、探したはずの場所からそれが出てくる。
こんなことが頻繁にあれば、「なぜ見つけられなかった自分……!」とか「どうして自分は忘れっぽいのだろう!」とか思うより、「いたずらな妖精だなあ」と妖精と同居しているのだと思ったほうが楽しい。
もとい、いたずらな妖精の仕業だと思ったほうが自然である。
自然であるのだ。
異論は認める。
妖精がいない家のほうがおおかろう。たぶん。
もちろん対策はする。
蹄鉄を用意して、とはもちろん冗談として。
簡単にできる対策として、置く場所を決める。ここと決めたらここに置く。
外出しても、家に帰ったらすぐにカバンを整理する。
カバンの中に置いておくもの以外は元の場所へ。
そうしないとカバンに妖精が入り込む。そこは狭いよ、こっちにおいで。ミルクあげるから。
そう習慣づけると、妖精は些細なものしか隠さなくなる。
大変よろしい。私は平和的に共存したいのである。
平和的に、共存したいのである。
だから……妖精さん、お願い。
君が隠したUSBを早めに返しておくれ。
あの中には私の小説が入っているのである……設定が入っているのである……。
お願い、早く返してね。