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やめて、その匂い

 昨日、私が飛び上がって逃げ出すことがあった。


 電車の中である。


 そこそこの人数がいて、席が埋まって、ちょっと人がたっている。


 そんなこみ具合だった。


 その中で、運よく席に座れた私は目を閉じて、耳だけで周囲を見ていた。


 ところがだ。


 いきなり鼻がむずむずして、立て続けにくしゃみが出てきた。


 このご時世である。くしゃみをする人間に世間の目は厳しい。


 そこが公共交通機関であり、その人物がマスクをしていないのならなおさらである。


 なお、私がマスクをしていないのは接触過敏という過敏症の一つが関係している。


 しかしそんな事情は周りの誰も知らぬ。


 一方くしゃみをした私は続いて「におい」に気づいた。


 ああこの人工的な「臭い」。


 この密室で、誰かが制汗スプレーか香水を使ったのだ!!


 何という暴挙。何という考えなし!


 においで具合が悪くなる人間のことなどまったく考えていないのだろうな、この人は!


 と思ったときにはもう臭いのもとはわかっていたが、噴射されたものはどうしようもない。


 私はたまらずにその車両から逃げ出した。


 私の嗅覚は非常に優れている。


 犬には負けるだろうが、たいていの人より敏感だ。


 しかしそれは「いいにおい」と感じるものが増えるより、「人が平気なにおいも不快と感じる」面での敏感だ。


 つまり、人よりにおいでダメージを受けやすい。


 母の化粧品も「あ、そのにおいだめだから近づいてこないで」と言う嗅覚過敏である。


 ちなみに父にも同じようなことをした。「その制汗剤のにおいだめ」。


 家族を丸ごと巻き込んだのは「この洗剤のにおいだめ!」である。


 自分勝手なようだが、私にとっては切実である。


 毎日着る服、というより生きている限りずっと着ている服から頭を痛くするほどの悪臭がするとか、誰でも避けたいと思うのではないか。


 私にとってはそれくらい切実。


 人工的な香りは、自分が大丈夫なもの以外全部排除したい……と思い詰めるほどには。


 ついでに、関係者には大変申し訳ないが、たばこは残り香でも全力で逃げたい。


 あの頭の痛さ、あの目を刺す刺激、喉をきゅっとする苦しみ……。


 タバコは、健康被害うんぬんよりも「ただくさいから」で制限されないだろうか……。


今回出てきた症状……接触過敏 嗅覚過敏

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