過眠傾向
その昔、やっぱり私が小学校中学校くらいの話である。
私は休みの日、一日中眠る子どもだったという。
寝ているんだから当然自分では覚えていない。が、親はしっかり覚えている。
分析とすれば、そもそも他者とコミュニケーションをとるのが難しいASDが他者とコミュニケーションをとるのが目的な学校に行っているのだ。
そら疲れるだろう、ゆっくりおやすみ。なものだが、当時はこんなに眠って大丈夫かと思われていたらしい。
たくさん眠るのはへいちゃらだった私は、だんだん眠る時間も少なくなって高校を卒業した。
そのあとの進路は割愛して、ある時私はうつ病になった。
正確には、うつ病の診断を受けた、というか。
で、「よく眠る湯兎」に戻った。
よく眠った。
本当によく眠った。
当時を思い出すと、何をするにもしんどい、何かしたら眠い、何もしなくてもひたすら眠い。
そんな記憶ばかり出てくる。
夜に眠り、昼にも眠り、今が何月何日で何時なのかもわからなくなる日々だった。と思う。
なにしろこのへん、記憶があいまいなので。
この眠りすぎをうつ病では過眠傾向という。
なお注釈。
「うつ病になった」から過眠になったのではなく、「うつ病の目安の一つとして」過眠傾向があることが重視されて「うつ病だと診断された」のである。
うつ病だと診断される前から過眠はあったということである。注釈終わり。
とにかく眠い、は治療を受けるにつれ朝眠く夜おめめぱっちりな「日内変動」になり。
こりゃやべぇ昼夜逆転してるよと思った私と親の努力でなんとか「朝ちょっと遅く、夜ちょっと遅い」くらいになり。
……今はなぜか、「朝四時に起きる湯兎」になっている。
私はもっと寝ていたいのだ。
でも、なぜか四時に起きてしまう、という嘆きは置いといて。
過眠傾向が強く、疲れるとすぐ眠ってしまう私を知っている親は、優しいことにいつも確認してくれる。
「大丈夫? 今起きる?」
「……起きない……眠る」
以上のように。
さて、これについて私は先日ある事実を両親に打ち明けた。
「朝、起こしに来た時『まだ眠る』って言っているのは、大半私が寝ぎたないだけだから、起こして大丈夫」
両親はびっくりしていたが、「なんだ、昔の湯兎と同じなのね!」と納得してくれた。
私はそこで初めて、小中学校の私もたいそう寝ぎたなかったことを知った。
過眠傾向は確かにあるが、私はそろそろ朝起きられるようになっているので、それを朝寝坊の理由にしてはならぬ。
まあ、そう行動しただけで一歩前進である。
なお、私が打ち明けた時、両親はそろって
「いぎたないってどういう意味?」
と聞いた。
さて、皆さんの中で「寝ぎたない」を「いぎたない」と読めた方はどのくらい?
今回出てきた症状……過眠傾向・過眠症 日内変動