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交易所

 問題は取引をどこで行うかだ。

 人間たちに村の中をうろつかれては困る。塩の秘密が露見すると侯爵の意見も変わるだろう。

 一度攻め込まれたというのはいい口実だった。

 それで、交易は村から少し離れた場所に場所を用意することになった。

 提案者はリンホーだ。場所は侯爵領から陸路で来た場合に最初に村から見える丘の上か、入り江の監視所のどちらかで、後者の場合船を使う必要のある場合と限られていた。どちらにも櫓を組んで色付きの吹き流しを立てて相手に連絡を行うことに決まった。取引準備完了、連絡事項ありなどで必要に応じて村、侯爵領、両側から交易所に人を出して相談や取引を行うことになる。

 お互いに完全に信用なんてできるわけがない。行商人は俺の配下だしその背後にホルンがいるからといって全く安心はできない。そりゃあ、ホルンは何をするかわからんやつだが、この利権にいっちょ噛みしたいやつが他にいて何かしかけてこないということは絶対ないとはいえない。人間側も非人間種族に信用をおくようなお人よしではないだろう。

 交易所近辺はお互いの警戒対象になった。護衛につれていった大蛇をあのへんに潜ませて万一に備え、エリナは監視装置をいくつか隠した。入り江の監視所の兵士が二、三日に一回は見回りにくるようになった。

 それにともなってか、監視所は増員されたようだ。

 自業自得とはいえ、人間が一方的に殺されたのはやはり面白く思われてはいないらしい。

 その機会があれば、彼らは報復をためらわないだろう。東の鬼人連合は金属の武器を供与したおかげてかなり善戦してるらしい。樫鬼、鱗鬼に対する憎しみも前線帰りはもっているはずだ。

 勝手をやったが、ホルンはその日を先延ばしにしてくれた。だが、これを回避するのはおそらく無理だろう。いつか侯爵領と衝突することになる。

 信じて下に入ってくれたテラオ村長にはもうしわけないが、村を放棄するときがいつか来ると思う。勢いのある侯爵領を制圧できるほどの優勢は取れないだろうし、滅ぼしたら滅ぼしたで英雄が派遣されてくるかもしれない。

 内紛でも起こしてくれればいいんだが。

 そんな心配をよそに、交易の最初の取引は非常に穏便かつ友好的に終わったらしい。荷駄数個の交換で、妖魔側は魔法具の便利グッズ数点、侯爵領側からは触媒の原料となる海産物や植物。両者護衛をつれてきていたが、距離をとってにらみ合うだけで衝突することはなかったそうだ。

 護衛といっても、樫鬼の番人二人にスーハオが召喚した眷属の見慣れないがっちり頑丈そうな種族の戦士二人。この二人は岩鬼という種族で、対岸のかなり南のほうにいるらしい。魔族ほどではないが、やはり長命種で鉄鬼のように技術があるわけではなく、しかし頑強な体と見かけからは想像できない敏捷さからすぐれた傭兵として魔王たちに愛好されたものたちらしい。長命種の宿命で、繁殖力は弱く、数は多くない。

 此岸の人間たちはおそらく見たことのない種族だ。彼らを選んだ理由をスーハオに聞くと、鱗鬼だと東の鬼人連合との関係を疑われるから、とにかく強そうなのを選んだとのこと。

 洗練された軍人の動きを見せる彼らに、侯爵領の兵たちも慎重になったらしい。

 その慎重さがいつまでも続いてほしいものだ。

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