傲慢と報復(1)
遺跡から、足ごしらえもほどく間もなく呼ばれて村にかけつけることになった。村に行くのだから妖魔の身なりだけ整える。スーハオとゴウラガは遺跡にとどまり、俺とテラオ村長でおっとり刀でかけつけることになった。
聞いた話では俺と村長が村を出た後に襲撃を受けたということ。
時系列を整理すると、昨日、俺たちは村を出た。テラオ村長と村の代表である妖魔二人がでかけた格好になる。どうやら、襲撃者たちは監視していたようだ。うちの監視網にひっかからないなら、見ていた場所は一か所しかない。まあ、難詰しても知らぬふりをするんだろうな。
防柵の前には襲撃者の遺体が並べられていた。人数はぴったり十人。全員男性だが身なり、体格にはかなりばらつきがある。
ずたずたになったが、仕立てのよさのわかる上等な身なりのあまり若くない男がリーダーなのだろう。着衣は先日侯爵領で見た人たちのなかでは裕福な商人のものに近い。軍人ではないようだ。この男は勇敢にも片刃の剣を抜き放ったまま正面からばっさり袈裟懸けに斬られて死んでいた。
手を下したのは、今は妖魔のコスプレをさせられて雑巾片手にオートマトンについた返り血や肉片をきれいにしているシュベイヒ。そして彼に指示をだしたエリナだ。
話をきくと、エリナはシュベイヒにオートマトンを指揮して襲撃者の相手をさせ、その両脇をかけつけた樫鬼、小鬼たちで固めたらしい。彼らは村に侵入しようとするものの排除と逃げるものへの投石、投槍を行っただけで、ほとんどの襲撃者はシュベイヒの無慈悲で徹底した指揮でわずかな時間で制圧されてしまったそうだ。
個人としての技量は侯爵領の兵士としてはやや強いくらいらしいが、指揮官のセンスがあったらしい。
おそらく戦場で孤立した数名でいかに生き延びるかの経験、そんな感じのものをいくつも積み重ねていたのだろう。
ほかの人間たちはいくつかの種類に分かれていた。
まず、侯爵領の兵士に似た格好の男が二人。この軍服は擦り切れて型も古いようだ。中身の人間も白髪がちらほらまじりはじめた老兵という雰囲気。ただし、髭も髪もきれいに整えられているし栄養状態もよさそうだ。おそらく元軍人の経歴をかわれてついてきたリーダーの側近なのだろう。この二人も勇敢にたたかって前から首を飛ばされ、胴を横なぎにまっぷたつにされて血と内臓をぶちまけていた。
ほかの七人のうち五人は水夫のようだった。伸ばせば足首まで風雨から守れそうな長衣を動きやすく尻端折りにし、背中に取り回しや道具にもつかえそうな短く幅広の曲刀を背負っている。この武器だけリーダーの貸与かなんからしくくたびれた長衣と違ってぴかぴかだった。彼らはかなり雑に斬りはらわれたり投石を頭にくらったりしている。二人は突っ込んできたらしく、村人の槍にで腹を刺されていた。
それ以外の二人は、こすっからしそうな顔の行商人風二人だった。彼らは戦うことは全くせず、逃げようとしたのを後頭部に投石を受けて倒れている。
情報空間にあたってみると、この投石で死んだ二人と村に突入しようとした二人だけが回収されていた。オートマトンは俺の配下ではないので、その手にかかった者は回収されなかったらしい。
だが、その場に水夫一名と元軍人一人以外の幽霊がまだいたので、これを回収しておいた。
「それで、何がおきたんだ」




