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竜の継承者

「不覚であった」

 明けの花十四世はため息をついた。

「よくも初代様を」

 ゴウラガは憎しみを隠さない。彼の武器は手斧一丁だが、場合によってはそれで戦うつもりなのは明白だ。

 どうやら、スーハオは「夜明けの霧の声」を暗殺したらしい。だが、彼の意識はずいぶん昔に閉じたっきりなのだが、まだ生きていたのだろうか。

 初代、つまり「夜明けの霧の声」は竜の衣を次代にゆずったあと、眠りについたらしい。そのまま飲まず食わずで死にそうなものだが、眠っているのは意識だけで体は普通に飲み食いして延々生き延びていたそうだ。

 脳死してないか、と思うのだが世代交代の時には当代が呼べば目を開けて適任者を指さしたという。

 情報空間にその時の記憶がないので、おそらくそれは無意識の行動だったのだろう。

 それがなかなか起きなくなり、とうとう眠ったまま食うだけになりさがったときに竜の衣の引継ぎは命がけのことになった。

 そんなストレスも彼らは受け入れて、何もしなくなった初代への捧げものは忘れず面倒を見てきたらしい。

 その初代を鎮めた祠をスーハオとその部下は襲撃して初代を俺のもとに送り込んでしまった。

 不覚、というのはそういうことだ。祠は厳重な警備などなかったらしいが、それでも場所は秘匿されていたのにスーハオがそれをどうやって知ったのかはわからない。

 いや、一つ方法に心当たりがある。そのことは彼らの心象をさらに悪くすること受け合いなので、うかつに口にはできないが。

 「夜明けの霧の声」は不死ではなかった。不老と不死は性格が異なる。不老は老衰が起きない。これは臓器の復元力が高いことでもあり、肉体は衰えることはない。対し、不死は死ぬという現象を様々な方法で回避することをいう。ロクザン翁のように生き物であることをやめるのも一つだ。

 そして不死も不老も不滅と同義ではない。ゆえに意味があまりないばかりか、問題がおこるので不老であれば別の不死を備えることはまずないそうだ。

 だから殺せるとスーハオは確信した。ついでにいえば、彼は竜形の「夜明けの霧の声」を知っていた。

 どういう思いで凶行におよんだかは当時の関係性を知るよしもない俺にはわからない。

 その後、追ってきた明けの花十四世と彼らは交渉をしたらしい。

 俺がするべきは、「夜明けの霧の声」を召喚すること。

「無魂でおねがいする。魂ありではまたすり減ってしまうので」

 感情の整理がまだできていないゴウラガと違って、明けの花十四世は冷静だった。

 補修なしに召喚できるだろうか。そして補修したら四天王のように魂もつけてしまうのではないか。

 不安はあったが、成功すれば竜の民と同盟という体裁で実質支配に納めることができる。ダラたち廃村の生き残りも保護できる。

 とにかくやってみよう。

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