戦後処理
ロクザン翁がひさしぶりにやってきた。
「侯爵領はお祝いムードでな。うちの錬金術工房も休みにして出てきた」
もちろん霊体でだ。
ということはやはり、魔物の王は討ち果たされた、ということだ。
もちろん、この爺さんがただ茶飲み話をしにきたわけがない。
「研究の進捗はどうなっておる」
いやまあスーハオ呼んだせいで何日も進めてないが、爺さんはゴーレムの制御水晶の修復に関心があるようだ。
「あれは幽霊を加工して霊体にうつすのに似ておる。似ておるが少し違う。複写を使うから何度でも試せるのもよい。おぬしへの助言はそんな『お化け』を作るためのコツであったが、どうなったか知りたい」
そんなやばい術だったのか。
「つまり、霊体とやらを作れば俺にも『お化け』を使役できると? 」
「そうじゃのう。だが、霊体作成には魔力がかなりいる。まだまだ足りんからのう」
そして爺さんは「ん? 」と俺を見た。
「どういうことじゃ。結構増えておるな」
まあ、レベルアップしたからね。ステータスに基づいて再計算がはいるのが「ゲームシステム」のチートだ。
「これくらいあったら霊体作れそうかな」
なんせ瀕死になったが、魔王を召喚できたのだ。
「あともう少しじゃな。なんせ『対岸』には魔力電池がない。闇鬼あたりが同じようなものをもってそうだが、このへんであれは手にはいるまい。あればためてなんとかできるがなんせ高価なものだでな」
「師匠はもってないのか」
「わしゃ素で霊体作れるくらいの魔力あるぞ」
恐れ入りました。俺はまだまだのようです。こつこつやるしかないか。スーハオがどこまでいったのか毎日のように成果をあげてくれるので、近々8レベルにできるだろう。
「英雄部隊はどうしてますかね」
気になるのは彼らの動きだ。こっちせめてきたらもう逃げるしかないじゃないか。
「主の女公爵に報告を送って休息中じゃ。負傷者が数人でたし、一名は退役しないといけないくらいの傷を負ったようだでな。んで、侯爵が続けて東の樫鬼どもとの戦争に力をかりたがってる。一緒にお願いの手紙を出したようだが、奴ら本人は帰る気まんまんだね」
「侯爵領軍が全力でかかれば十分じゃないかな。樫鬼は頑丈な狩人だが、戦闘にはにたけてない」
「加勢に鱗鬼がはいったからのう。しかも連中、どっから入手したのか金属の武器もって難戦が予想される。魔物の王との決着はついたが、侯爵領軍は痛い目にあっておるので、すぐに攻略は無理であろうよ」
そんなことより、少しでいいから進捗があれば、というので俺は失敗例を見せることにした。
狂った言葉を吐き続ける頭と胴だけのゴーレムにロクザン翁は唖然とし、なぜか愉快そう。そして嫌がらせの悪霊を作るのなら成功してたね、と謎の慰めをされた。
以前もらった文献に悪霊作成の手引きがあるので、参考に見てみるといいと教えてもらう。霊体の形成方法も書いてるので、理解をすすめておけと師匠っぽいことも言ってもらえた。
「また来る。だが、その前に侯爵領から残党狩りが来るかもしれん。うまく『当面ほっといてもいい無害で利益にもならん連中』とおもわれるようにな」
うん、塩の件とか知られたくないね。




