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余波

 おれは四日近く生死をさまよったらしい。

 目がさめるたときはおむつ交換をされたところだった。ずっと世話をしてくれていた召喚農婦が感情のない目で汚れたおむつと、股間を拭いたとおぼしき手ぬぐいを手桶に放り込んで立ち去るところだった。

 喉がかわいていたので、枕元にあった吸い口の水を一気にのむ。水かとおもったが、果汁かなにかの甘いもので、水分と栄養の補充にあててくれていたらしい。腹が盛大になった。

 あの女は名前をなんといったのだろう。ぼうっとした頭ではなかなか思い出せない。情報空間にあたって、ようやく思い出した。

「サオメイ、サオメイ」

 声があまりでないので、二回目は頑張って大きく彼女を呼び止めた。

 足をとめ、うろんげに振り向いた農婦に俺はエリナを呼ぶよう頼んだ。

 そこから怒涛の検診タイムだ。といっても医療機器があるわけではないので、問診と触診で異常の有無をたしかめられ、その間に農婦が柔らかく煮た芋入りのスープを持ってきた。

 この四日間の出来事が聞けたのは、食事で体を温めて少し落ち着いてからで、リンホーとエリナがそろってからだった。スーハオ大将軍はまだ討伐行にでたままらしい。

 まず、台地の戦いは大詰めに向かってるらしい。ドローン空撮といえる偵察小鳥ではなく、樫鬼の森番に交代で斥候にでてもらって遠くから見ての報告だが、森にあがる炎がだんだん奥にむかっていて、そろそろ中心部に達しそうなのだという。

 周辺には魔物の王の出した遊撃隊と侯爵領軍の迎撃隊がうろうろしてるので、あまり接近できないから「らしい」以上の情報がでない。

 もう少し回復したら、偵察小鳥を出してみよう。あれもあんまり近づくと魔物の王の怪鳥に落とされて奪われてしまうのだけど。

 この四日の間に妖魔の商人が再訪して、いろいろ取引があったこと。漁場に大きなサメが迷い込んで定置網など破られたが、これはどうも台地の戦いの余波らしいことなどの報告もあった。サメは村の漁師総出で退治して肉は食料に、そして情報空間に召喚可能な生き物として登録されている。生え変わる鋭い歯とサメ肌が肉体変形の候補にあがっている。まあ、使わないけど。

 ステータスを見ると、簡略表示で1から2づつ上がっている。これは相当な進捗だ。ただし、情報空間にスーハオの倒した生き物が入ってきてもほとんど変化がなくなってきているので、レベルを7にあげた。これで魂なしの召喚者たちの維持コストがゼロになるもの、ならないものが出てきた。たぶん8にしたら人間や樫鬼なら維持コストがいらなくなるんじゃないだろうか。

 ただ、それはもう少し様子を見てからにしようと思う。

 スーハオが今どこにいるか聞いてみたところ、南進して集落の者の古い知識の更新を行っているのだという。その前に、入り江の蜘蛛たち、人狩部隊のリーダー蜘蛛の落とし子でリーダー蜘蛛が倒され俺の配下になってしまったことで自由勢力になってしまった彼らを手ならしに掃討したのだが、これはエリナの糸用溶剤のおかげもあって一日もかかっていない。情報空間で数えると、蜘蛛たちは六匹に増えていた。

「一人で六匹倒したのか」

 びっくりすると、リンホーが苦笑して訂正した。

「いえ、彼は自分の眷属を呼べます。殿のレベルにひっぱられているので、あまり数はだせませんが」

「そいつらの強さも俺に影響受けるんだよな」

「スーハオはその可能性を考えて蜘蛛でためしたようです。結論を言えば、彼の眷属は制限を受けていません」

 ただし、スーハオが俺の配下であるために彼と眷属が倒した敵は俺の情報空間にかきこまれ、彼のものには書き込まれない。つまり、魔王の能力は一部だけ残っているという状態なのだそうだ。

 そんな話をきくと、実力がついていなくても上げるだけなら自由なレベルをもっと上げたくなるが、それは最後の手段としよう。

 それより、魔物の王の戦いの結果が気になる。

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