台地の再戦(2)
前回の戦いでは迎撃の百名ほどが全滅したが、あれから日数がたっているので、魔物の王の兵力は当然回復していた。
ゲームシステムでいえば、彼女のレベルはどれくらいになるのか。幅はあるそうだが、召喚失敗成功に関係なく、だいたい低くて四十、高くて六十くらいだろうという見立て。俺のほうはがんばれば九十九まで伸びるそうだが、レベル相当の『経験値』相手はそうそういないのでそこまで伸ばすのは難しく、おそらく五十くらいで頭打ちになるんじゃないかな、と駄女神がいっていた。
もちろん、可能ならその裏をかいてもっと伸ばす気満々だが。
たとえ一番弱い四十レベル相当だったとしても、魔物の王は失った配下を全員またはそれくらい再召喚するのに十分な時間があったはずだ。
前回の砲撃に懲りたのか、今回は数にまかせて正面から推してくるのではなく、台地の蜘蛛の巣に立てこもって抵抗する構え、に見えた。
だが、偵察小鳥の鳥瞰では側面に四、五十名ほどが回り込んで蜘蛛の巣で攻防が始まったら横腹を作気なのだろうなという意図が丸見えだ。英雄部隊がこれを読んでいるか、予想だにしていないかは不明だが。
これはあとで同じ画像を見ていたリンホーから教えてもらったのだが、英雄部隊の一員らしい斥候が周辺の森などを偵察してまわっていたらしい。上からど結構見えてたらしいが、俺は気づかなかった。
このため、戦闘は英雄部隊、侯爵領軍が方向を変えて奇襲部隊を叩きにいくところから始まった。
魔物の王の手勢が森の中に潜んでいたこともあって、前回のように爆発する矢を打ち込むことはなく、重装備の隊長を先頭に突入を図るところから開始となる。
魔物の王の軍勢は、前回はただ平押しに攻めてきたのだが、この時は違う動きを見せた。
石や投げ槍を投げてけん制しながら、殿をたてて整然と退却を始めたのだ。
数的に前回ほど圧倒してるわけでもなく、装備に至っては裸同然で太目の枝をふりまわしてるだけの者がいるなど、前回より平均して貧弱なのは前回戦闘で失われた装備までは召喚できるものではないからだろう。
それにしても今回の魔物の王軍は組織だった動きをしている。
殿をたて、時間を稼ぎながら要塞に逃げ込もうとする奇襲部隊も、さすがに装備の差で少しづつ被害が出始めていると見るや、正面から三十あまりがわらわら飛び出し、その側面を狙って突っ込んできた。同時に、森の上から以前、飛龍に叩き落された怪鳥が六羽ばかり飛び上がり、上空から人間たちに襲い掛かった。
侯爵領軍はこれで少し混乱して被害を出したが、英雄部隊からの適格な指示で立て直すことに成功した。が、戦いは混戦気味となり、三々五々の野戦があちこちで展開された。
ただ、装備と訓練に優れた英雄部隊に彼らがかなうわけはない。十分もすれば魔物の王の手勢は総崩れになり、わずか十数名が迷宮化している台地の蜘蛛の巣要塞に逃げ込んだようだ。
倒された中に、見覚えのある蜘蛛の姿があった。彼か彼女かが指揮をとってたらしい。
英雄部隊と侯爵領軍は隊列を直す時間だけとって、台地の攻略にとりかかった。




