表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/455

内政と外交

 まず、リンホーから、彼の生きてたころの周辺と地下遺跡の旧魔王との関係を聞き出す。

 村長らから聞ける現状とつきあわせ、過去の実績とあわせて今後の外交方針を定める。

 外交を成立させるため、普通に生活するだけでない何が必要かを検討する。

 ここまでが村の主としての仕事だ。

 ロクザン翁からもらって写本を確かめ、魔王の術でもある死霊術と魔法の入門書から俺の魔法の素質も確かめる。

 これが魔王としての業務、というか修行だ。

 時間がいくらあっても足りない。

 リンホーが生きていたころ、当然侯爵領もないし魔物の王も台地には陣取っていない。そのへんは廃村の樫鬼の国で、そのころは廃村となった本村の他に分村がいくつかあり、人口も二千から四千程度あったという。

 ここと東の、現在侯爵領と戦っている樫鬼たち、それと南の大きな鳥に従う樫鬼たちは仲の悪い親戚で、遺跡の魔王は廃村とは相互扶助の関係を築いて樫鬼たちが多くは持たない金属器などを提供して支援していたそうだ。それだけで部族同士の衝突は廃村になった樫鬼たちに有利に働く。

 なので、東の樫鬼も南の大きな鳥の樫鬼とも直接の交流は持っていなかったという。

「どちらも武器の不足に悩まされていたから、交渉は可能ですな。戦争真っ最中の部族は特に。そうでなくても脅威を感じ始めてる部族もまた欲するものは同じでしょう」

 効率よく製造するには敗北した魔王、である四天王ホルンの力が必要だが、当面は小鬼たちでもなんとかなりそうだと彼は言った。

「エリナが作った転換炉がまだ動くようなので、材料の供給はこまらんでしょう」

 転換炉というのは元素転換を行う魔法装置、だそうだ。元素の考え方が俺の知ってるのとまるで違う。こちらでは元素というのは分子相当のもので、転換は試験管の中でも行えるらしい。錬金術だ。

 そして元素を形作る原子にあたるものがあるが、これは単一の種類しかなく、構成する元素の属性を決めるのはその数とその数で安定するための付帯魔力の向き、少し違うが素粒子物理学でいうスピンのようなものなのだという。これらは化学的に変化させることができる。

 魔法の理論は、つまりこの錬金術理論と同じだ。錬金術は試験管の中で反応させていくのだが、魔法とよばれるものは魔力で直接干渉する技術となる。

 察してはいたが、呪文詠唱すると炎が標的に投射されるなんて派手なことはない。

 魔法でできるのは、火薬を調合して火打石の打撃で着火するようなことだ。ただし、そこからの技術的応用は多岐にわたり、ロクザン翁が知らないというゴーレム製造などは内燃機関から自動車だけでなく様々な農機具、製造機械のようなものを組み上げるような、いくつもジャンルがあって、それぞれに高い専門性のある分野で高度きわまりない技術体系を形成してるようだ。

 ロクザン翁にもらった魔法の入門本はつまり、小学生低学年向けの理科の教科書のようなものだと思うといい。

 まだ動くという転換炉は錬金術を自動化した、とんでもないハイテク高級機材ということになる。

 戦いに不安な彼らに武器を売りつける。塩もいい商品になるだろう。

 彼らから代価として受け取るものは廃村との取引で受け取ってたもの、ハーブ、干し肉、革、大きな鳥の部族からは鳥の羽などをテラオ村長がリストアップした。とくにいくつかのハーブは率のいい代価として多く受け取るようリンホーが提案する。

 そのハーブは妖魔が好むので、彼らの交易都市にもっていくといいというのだ。

 妖魔の都市はリンホーの時代からあって、このころは敵対であったが、今はもう関係はないだろうから、関係を結んで他では手に入らない物資、それに情報、できれば外交チャンネルをもちたいという。

 鉄鬼とも関係をもちたいが、ここには塩を売って道具を売ってもらうまでにしたほうがよいというのが太政大臣殿の判断だった。鉄鬼は闇鬼に従う種族ではあるが、その分プライドが高い。人間の脅威はまだ遠い話なので、あてにはできないが、製品の質はいいので小鬼たちのスキル向上の参考とするのがいいだろうと彼は言った。

 手ごたえは、東の樫鬼からは大歓迎された。金属の武器がほしくて仕方なかったらしい。大きな鳥の部族との接触は最初のものは激しい拒否にあったそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ