富国
ステータスの上昇がほとんどなくなってきた。小鬼の漁師たちは海で大物をしとめ、樫鬼の森番たちはしばらく引きこもってる間にふえすぎたクマや狼、猪や鹿を間引く。ダイ一人にたよってころとは雲泥の差で俺のステータスは強化され、耐性や特性が入ってきて整理がおいつかないほどだ。
時々、塩などの仕入れに小蜘蛛を護衛につれてやってくるダラと会話し、不足してる生き物をそこから補充してやった。鹿はなるべくたくさん。クマはつがいが一つ、狼も同じく。あとはグイが調整して蜘蛛が補助をする。人間たちは狩りつくしたと思っているのか、彼らのいるあたりまではやってこない。かわりに森の浅いところを切り開いて牧場を作っているらしい。
魔物の王の人狩隊はその牧場のまわりをときおりうろついている。狙ってるのは人間たちなので、ダラたちのこもってるあたりまではこない。ただ、彼女たちが拠点を構えたのは「大きな鳥」飛龍とそれに使える樫鬼部族のエリアのすぐ外くらいなのであまり南下されると詰んでしまう可能性がある。
しばらくは猶予があるが、この間にできることをやっておかないといけないだろう。
魔王の権能で流れ込んでくる情報の整理が一つ。魔力のステータスはまた伸びてあと一人くらい召喚可能になった。ただ、この枠はまだ温存しておこう。正体不明の四人が遺跡の魔王の幹部ならぜひほしいところだ。
ステータスがあがってきたのと、俺自身が自衛くらいできたほうがいいので、短時間だが、兵士シュベイヒに稽古をつけてもらうようにした。肉弾戦で高度なかけひきをしかけてくるとすれば人間だからだ。あざが増えたが、彼の知っている攻撃パターンのいくつかは受けきることができるようになった。意志がなく、習い覚えて身に沁みついた行動しかできない彼はひねりをいれてこないから、できたとしてもあまり自慢はできない。
最後は情報収集、マップの拡張だ。必要なら偵察小鳥で見に行くが、基本は小動物による浸透でマップを広げる。伝聞では西の遠くに妖魔とよばれる種族の大交易都市があるし、南西の山中には鉄鬼とよばれる小鬼族より一回り大柄の採掘工芸にすぐれた種族の地下都市もあるらしい。
人間たちがやってくる前はその両都市から商人がやってきて、毛皮や干物、この集落なら余った塩などを買い付け、代金に生活に必要なもろもろをおいていったのだという。
今は人間を恐れてこなくなった、という。魔物の王が出てからはなおさらだ。
この村に不足しているのは戦力と装備だ。人間たちは金属の武器防具で武装して手ごわい。魔物の王の手下は時間をかければ数を回復してしまう。なのにどちらに対しても手数が不足だ。
なんとか、ここの生活水準を向上し、人を増やし、どちらにでも対抗できなければなるまい。
いまのところ、有力な商品はおそらく塩だ。むこうからこないなら、こちらから売り込めないか。樫鬼も、小鬼も商売気の少ない連中でむずかしいのかもしれない。
ロクザン翁がやってきたのはそんな悩みをかかえていたときのことだった。




