表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/455

来訪者

 何者か、と小鬼に問われた。

 どう答えるべきか、は一晩悩んだことだ。

 答えその1 魔物の王の仲間です。…絶対警戒しかされない。

 答えその2 秘密です。信用されない。

 答えその3 魔王です。

 魔王は過去にいくつもいて、滅ぼされたり自然に滅びたりしたみたいだけど、樫鬼や小鬼たちにとってどんな存在なのだろう。

 そのものの言葉は樫鬼にはなく、小鬼と人間だけがおとぎ話で覚えていた。

 人間にとっての魔王は人間に敵対する魔物たちの統括者。まあテンプレだね。

 樫鬼たちは自然の王というものに従っていた伝説があるらしい。悪さをこのむ強力な邪霊というものととても強い人間たちを退け、自然を回復し、祖先に生き方を教えた存在。樫鬼だけでなく「対岸」のすべての生き物に指針を与えた偉大な指導者。

 小鬼たちは魔帝と魔王いうものを伝承で覚えていた。魔王は気まぐれで好き勝手をする強力な存在。魔帝は彼らの上に君臨し、秩序あるくらしを約束した有徳の君主。ただし、魔帝も即位前は魔王の一柱であった。

 それなら、賭けにはなるが名乗る名称は一つだ。

「俺は元は人間だが、魔王だ。タケトという。運悪く神に拉致されて改造された、遠い異国の元人間だ」

「魔王は死者を冒涜するものがおるという。もしやあの樫鬼は」

「滅びた村の幽霊だよ。身の回りの世話をお願いしている」

「むう」

 小鬼は考え込んだ。が、時間を無駄にするのはよくないと思い直したようだ。

「信じよう。しかしこんなところに魔王が2柱も降臨するとは」

「その点については俺も神に文句をいいたいね」

「襲われておられたものな」

 小鬼は短い歯擦音をつづけさまにいくつも出した。笑っているらしい。

「では、塩はいただいてまいります」

「まだあるから、足らなければ相談してくれ」

「そのときは」

 小鬼は手を胸にあて、頭を軽くさげた。彼らなりの礼のしかたらしい。

「わしは勘定方のゴドルともうす。以後お見知りおきを」

 彼は塩の手桶を大事そうにぶらさげて森に消えていった。

 おそらく、これで彼らに動きが出るだろう。

 敵対や、逃散でなければいいな。敵対の可能性はないとはいいきれない。だが、脅威と思うならさらに彼らは逃げるだろう。逃げるあてがあればだが。

 そして期待しているのが同盟だ。敵にまわすよりよほど得なはずだし、今回の塩の提供もその余地を知らせるつもりだった。

 早ければ、明日にでも誰か来るだろう。 

 ところが、俺の予想ははずれた。

 来訪者がやってきたのは日没後、壊れた船の舟板で窓を封鎖し、ドアを補強したのにもかかわらず、俺の目の前にすうっとやってきたのだ。

「ここにおったか」

 死霊術師の霊体魔法使い、ロクザン翁がふうわふうわと漂っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ