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襲撃本番

 ダイを失ったのは痛いが、次を召喚する余力ができた。

 考えるべきは二つ。

 誰を召喚するか。

 召喚の材料は何を使うか。

 召喚といっても無から有を生むわけではない。同じだけの質量の有機物が必要になる。それでも十分、無から有を生むのに似た現象がおきているのだけど。

 蛇や鼠たちはそこらの草で足りた。

 ダイやダラは木から生み出した。

 次も木でいいと思うが、ダイが襲われたのが森の中に間違いはないので、森に近づくのは少し危険だ。

 やるにしても反対の方向で、できれば明るくなってからがいい。

 あれから知らせがこなかったということは、ダイを仕留めた連中は一度引き上げている。それなら明日でも間に合うだろうと判断したのが油断だった。

 そいつらは海から来た。意志無きものたちは生前の知識に基づいて行動する。それは彼らも同じようで、ドアに閂がおりていると知るとためらうことなく体当たりを行い、はじきとばされると別のやつがドアほど頑丈に固定できていない窓を破壊しにかかった。

 さすがにびっくりして起きた俺がおっとり刀ならにおっとりこん棒で物音のする主室に出るともうまどは半分こじあけられ、入り込もうとする蛙人の顔がつっこまれていた。

 入ってこられてはたまらない。殴ると緑色の体液をこぼして一度頭をひっこめたが再度つっこんでこようとする。そうしてる間に別の窓もきしみ始めた。

 おびえたダラががたがたふるえながらすりこぎを構えている。だが、ドアへの体当たりは続いており、閂がそろそろはずれそうな感じになっている。

 どう考えても手が足りない。急いで一人召喚したい。

 蛙人はもぐりこもうとするたびに殴られるので、今度は腕を突っ込んで何かの骨で作った武器を振り回し始めた。とがった骨が突き出してあたると痛いことになりそうだ。万事休す、召喚したいが材料がないじゃないか。あとが大変になるが、柱や梁で試そうかと思ったとき、俺はどうせ試すならと思うことがあった。

 まずは足元の投網をつかむ。まだ練習中で投げてもなかなか広がらないやつが、今はその必要はない。頑丈なそれを蛙人の武器にからめてぐいと引き寄せる。腕ごともってこられて蛙人はぐええと鳴いた。

 血は危険な気がしたので、無傷のその腕をつかんで、俺は召喚した。選んでる余裕はない。いま必要なのは戦える誰かだ。ダイ以外の樫鬼の戦士か、小鬼の若者か、いや、この場合は人間の兵士だ。

 ごっそりリソースが体から抜ける感覚は脱力に似ている。この手ごたえは成功か。

 蛙人の体が変形し、半裸の人間男性になった。ただし武器だけは握ったままだ。

「敵を倒せ」

 兵士はうなずくと身をひるがえし、窓の外に消えた。

 これは緊急時にはよい手段かもしれないが、乱用できるものじゃない。あと一人召喚する余力はなく、俺自身はひどい倦怠感に襲われている。情報空間に蛙人の情報が落ちてきた実感があったので、倒せてしまったのだろう。兵士がうまく敵を相当してくれなければ万事休すだ。

 やがて、一人分の情報がまた落ちてきた。これは人間らしい。そして樫鬼の情報。最後に、知らない生き物の情報が落ちてきた。これで家の外は静かになる。

 兵士はうまくやってくれたようだ。

 静かになったところでドアをあけると、めいめいの色の血を流して襲撃者たちが倒れていた。

 その真ん中に、下着に途中持ち換えたらしい斧をもった兵士が震えていた。

「着るものを」

 人間に殺されたせいで固まってしまったダラに彼の着るものを用意してもらうのは骨が折れた。

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