表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/455

引っ越し

 生きた人間たちとの接触にはまだ早い。彼らは俺のような不審者を放置しておくほど余裕があるはずはなく、取り調べるためにきっと拘束するだろう。そういう確信があった。

 一つ。いまのイワツバメ準公爵はつぶれた旧公爵家から妻を迎え、その遺民を積極的に受け入れていずれ自領を公爵家として独立させる野心があるように思えること。

 一つ、おそらく本家公爵家がそれをただ座視するわけがないと思われること。領主のすげ替えの口実など、情報を欲してる可能性が高い。

 そして、その動きが本当にあるにしろないにしろ、準公爵が警戒をしない理由がどこにもないこと。

 よって、人間と思ってもらえるにしろ不審者が潜伏してることは絶対に許容してくれない。

 拘束は困るので、最悪、身一つで逃げ出さなければならないだろう。可能なら、痕跡をすべて消していきたいところだ。

 いずれ人間たちとも接触するとは思ったが、それは「対岸」で実力を十分につけてから、と思ってたのにこれはあまりにも早すぎる。

 不幸中の幸いは、接触するには早すぎる二つが争ってることくらいだが、その片手間で片付けられてしまうという状況なのでとにかく目立ってはいけない。

 最悪、行先決まらないままでもここから逃げ出す必要がある。そのため、荷物をまとめ、その時にはダラ、ダイにも手伝ってもらってすたこら逃げ出す所存。

 自分の生活の痕跡については植物をはやしてごまかそうと思うがじっくり調べられるとごまかしきれないかもしれない。

 ダイが戻ってきた。手土産に木の実や小ぶりの果物、そして子豚のような獲物をぶらさげて重そうにしていた。この豚のようなのは野豚の一種らしい。子豚のように見えるが大きくならないだけの種類。これと別に大型化する凶暴な猪もいるらしい。この豚も取り込めて、持久力がこころもちついて、内臓の毒素分解能力が植物毒についてかなり向上した。

 集落は無人だったらしい。すめそうな家は何件かあると彼は報告した。朗報だった。

「さっそく引っ越そう」

 無人になった理由は気になる。だがなんとなく、そろそろやばいという気がしてきているのだ。

 人間どもが来るとは限らない。また魔物の王が偵察を出すかもしれない。そして今度こそ飛龍からのがれてこの村の情報を持ち帰るかもしれない。

 人間どもにばったりでくわすのも最悪だ。

 翌日、畑を処理した。集められるものは集め、畝を崩し、ミントににた植物を生やした。はびこるのは一緒らしいので、数日あれば最初から疑って調べない限りわからなくなるだろう。

 ダイにもダラにも蔵の中を片付けてもらっている。家具などは穴を掘って埋めることにし、今夜は何もない蔵の中で野営のように休む予定だ。最後に苔を生やせばぱっとみ長年の廃屋で通じるだろう。

 作業をしていると、鮮やかな羽根をはたたかせ小鳥が一羽とんできた。召喚した小動物だ。

 そして小枝を落とした。

 やばい。ここまでそんなに時間はかからない。小鳥だってそんなに速度はでないことを考えると、まっすぐ来る気ならあと二時間あればきてしまうぞ。

 急いで偵察用の小鳥を召喚し、道沿いに人間を探した。

 まさかの光景がそこにあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ