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 小鳥は集落らしいものを見たところで何かに食われてしまった。地上に押し付けられとどめをさされるまえのぐるぐるする視界で見たところ、猛禽類につかまったらしい。少しだけ森より高いところに出てほぼすぐのことだった。

 ダイは行ったことがあるというので、少々心配だが受け答えの指示をいくつかだして使いにいってもらうことにした。

 指示としては、集落の状況確認。もし誰もいないようなら使えそうな廃屋の有無。住人がいればこちらの集落の状況を話して移住希望がかなうか確認。相手の要求などあれば持ち帰り確認ということで聞き取ってくる。そんな感じだ。

 ダイが戻るまでの間にダラには保存食を作ってもらい、いわば経験値にはもうならないが小動物の召喚獣たちには小動物の獲物、木の実や樫鬼の知識にあったハーブや止瀉薬になる薬草の採取をしてもらった。

 2レベルになって気づいたのだが、1レベルの召喚獣は呼ぶときだけのコストで呼んで、あとは生き物としてふるまえるようになった。ただ、原因はわからないが少し知能の高い生き物は数日で自然死してしまうようだ。これでは3レベルになればダイやダラにコストがいらなくなるかもしれないが、数日で死ぬことになりかねない。

 もう一つ発見があって、植物はコストだけで普通にはやすことができる。これは水がないなど普通に枯れる状態でなければずっと大丈夫なようだ。ダラに採取に出てもらう手間も惜しいので、小さいが畑を作ってそこに食べられる植物などをはやした。

 樫鬼たちに農業の知識はなかったが、取り込んだ人間、農婦から娼婦にされた薄幸な彼女の知識が役に立った。うねの作り方、やってはいけない組み合わせ、気の毒な身上だったが、農民としては彼女は薄情で移り気な夫よりよほどちゃんとしていたらしい。

 ある日、ダラが空を見上げているので視線を追うと、見慣れない鳥、おそらく猛禽類らしいのが飛んでいた。かなり大きい。鼠どころか、キツネくらいまで捕りそうだ。

「あれはなんだ」

「よくない鳥。でも、多分大丈夫」

 その言葉が終わるまでもなく、もっと大きいものがさっと南から飛んできた。

 よくない鳥とやらはあわてて翻って逃げようとしたが、とんできたものは矢のような速度を落とさず、そいつをつっこでん噛み割いた。

 片翼をくいちぎられ、大きな鳥はくるくるまわりながら落ちてくる。彼を害したものは巨大な口に食いちぎったその翼をくわえたまま、ゆうゆう旋回し、南へと飛び去る。まるで挿絵でみた翼竜だった。

「大きな鳥。よくない鳥が近づくのが嫌で、縄張りに近づくといつもああする」

 ダラの説明で、あれが鳥の部族を従えた大きな鳥、飛龍なのだと理解した。

 あの口、人間もぱっくりいけそうだし、やはり南はやめて正解だったと思う。

 片翼もがれた鳥は廃村の近くに落ちた。死んでいれば取り込めるかもしれない。もう一人だす余裕はないので、ダイの予備武器の六尺棒をもってそちらに向かった。

 鳥はまだ生きていた。猛禽類と思ったが、どちらかといえば始祖鳥を猛禽類に近づけたような姿だった。くちばしに鋭い歯がならんでいるし、蹴爪も凶悪そうだ。落下のダメージで足を折ったらしく、起き上がれず近づいた俺にそれでも気丈に威嚇の鋭い声をあげた。

 おもったよりでかい。片方しかない翼を広げて必死に威嚇してくるが、両翼あればきっと大人の身長くらいは余裕であるし胴だけで中型犬くらいはある。そして2レベルの俺にはちょうどいい相手。

 鳥が動かなくなるまで、俺は六尺棒で打ち据えた。

 腕の筋肉のステータスが少し強化され、遠視を俺は得た。

 それと、もう一つ。鳥の主についての情報。

 これが驚きの内容だった。

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