9.とり
朱雀地区。
天高くそびえ立つ黒き塔。
大監獄、大監獄『冥暗乃禁』
――見回りの人間を確認する。入り口はひとつ。見回りは二人。
アトラの収監されているのは地下200階、306号。そしてルーナの解放してほしい教徒も同じ階層である、318号。
結界で塔が覆われている。この強度であれば、破壊出来なくもないが、それをすればすぐにヴィドラドールが飛んでくる。
まあ、侵入した時点で察知されるとは思うけど......一応、正面から行くか。
門を警備する二人の聖騎士。死角へと素早くまわりこむ。
「がっ、は」
「ぐ!?」
――ドサッ、ドサ
「......よし」
素早く二人を気絶させ行動不能に。彼らが持つ鍵を懐から抜く。
それに反応した門が自動的に開いた。
◇◆◇◆◇◆
ルーナに聞いた話だと、内部は特に防衛魔法などもないらしい。
なので、侵入してしまえば特に問題なく目的の階まで到達できるとの事だ。
ただ、ここは『冥暗乃禁』ヴィドラドールの管理する、この国で最も強固な監獄。
彼ら一族が王家に一任されているこの監獄。なぜ難攻不落と言われ、最も強固な監獄とされているのか。
それは、ヴィドラドール血の持つ戦闘力の高さ、そしてその固有能力である『結界』による鉄壁の守りと、捕縛能力。
ここの監獄長である、アリオト・ヴィドラドールの結界術はSSレートの魔物にも壊せないほどの能力がある。
「......それ故の難攻不落、鉄壁の大監獄、か」
......しかし。
薄暗い監獄内を見渡すと、やはり人の気配もない。ただ、収監者のものなのか視線を感じる。
――B125
......おかしい、侵入されている事は知られているはず。
なのに監獄長はおろか他の人間も駆けつけてこない。......何故だ?
――ヒュアッッ!!
そんな事をレイが考えていたとき、何者かに背後から斬りかかられる。
しかし空気の変化を感じ察知したレイは仰け反りそれを回避。
「!!」
「おお、避けやがった!? 気配完全に消したはずなんだがな! はははっ!!」
目の前に現れたのは、紅の鎧を着た聖騎士。
鋭い目つきと、好戦的な笑み。
赤い頭髪を、後ろで括っている。
そして背に四、腰にも四本の刀が。
「......誰ですか?」
――ヴィドラドールじゃない......コイツの鎧、そしてこの......肌を刺すような攻撃的なオーラ。
「こそ泥退治ってとこかね? なに盗りに来たかはしらねえが、ここまでだ」
――鎧に刻まれた朱雀の紋様。そうか、彼が......朱雀隊の隊長。
「......盗りに来た? 違うな」
「あ?」
「奪い返しに来たんだ」
――朱雀隊、隊長『イオリ・ヤシン・クロノス』
王都の四方を守る、四聖騎士で最も凶暴な戦闘狂......
【剣鬼】
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