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81.なみ

 


 〜魔界、イムカ王都・王城〜



 王の間、青白い炎が灯る蝋燭。

 そこに集まるのは数十の兵士達。


 彼らは魔界各地から集まった戦士で、王の思想、人との共存の元戦う魔族達である。



「皆様、ダムル市街防衛戦......ご苦労様でした」


 玉座前、深々と礼をする赤毛の少女。赤と黒のドレスを着た彼女は、死した魔王の一人娘であり現魔王の座を継ぐ者。


 名を【アトリア・アル・ロベリア】


「皆様のお力添えのおかげです。 こちらの被害は少なく、特に市民に死傷者が出無かった事......これは紛れもなく皆様のお力です。 本当にありがとう」


「しかし、奴らの進行速度は異常だ。 まさかあそこが奇襲されるとは思わなかったのう」


 ネロが鬚を撫でながら言うと、アトリアが頷く。そしてネロの横にいた黒髪が逆だった背の小さい少年、【キル】が口を開いた。


「情報ではあの付近に来ているなんてのは無かったしな。 空間転移を使う魔族......か?」


 ルーナが口を挟む。


「いえ、それは無いでしょう。 転移の魔力は莫大です。 発動すれば王都の魔法防衛部隊の魔族が察知するはず......」


 その隣にいる金色の髪を後ろで括っている青年が「そうだな」と言って腕を組む。


 勇者、【ヴァロ】


「転移ではなく、何か別の......魔法を使用しない方法で彼らは進軍していた。 そして、その調査をし要因をはっきりさせねばまた同じことが起こる」


 アトリアの横に立つ執事が彼女に問う。


「アトリア姫。 いかがいたしますか?」


「ええ。 皆様の言われる通りです。 このままではいつ甚大な被害を受けるかもわかりません......調査し原因の究明をお願いします」


 黒い鎧、長い黒剣を背負った男、軍団長【エネルジーア】が頷き、指示を出す。


「では、これより作戦会議に入り部隊編成を執り行う......皆には議会室へと移動していただこう」



 王の間を出て議会室へと歩く。



(......この通路、そして王の間。 人間界のものとそっくりだ。 あれをつくったのも魔族だったのかな)


 ふとリアナの顔が鏡に映る。


 ――必ず、帰るから......どうか無事でいてくれ。


「どうしたんだ? レイ......ぼーっと外なんか見て」


「うん。 少し考え事を......ヴァロは人間界に待ってる人はいないの?」

「! ......ああ、なるほど」


 彼はにこっと微笑みひとつ頷いた。


「いるよ。 仲間......パーティーメンバーが」

「君だけが魔界に?」

「急だったからね。 彼らとは別れの言葉すら交わせなかったよ......でもこの魔界の戦争が終われば再び言葉を交わせる」


 そうか、ヴァロも人間界に戻りたいのか。


「もう少しさ。 頑張ろう」


「そうだね」


 ネロの故郷であるここ、イムカの街には古代魔法を発動させる神具がいくつもある。

 その内の一つに、人間界や霊界、魔界、神界と道を繋げられる物が存在する。


 それには莫大な魔力が必要になる。







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