80.先手
「ここら一帯はなるべく破壊するなと言われてるがな......貴様のような化け物が相手なら許してくださるさ」
そう言うと人狼の魔族は巨大な砂の球体を作り出した。
よく見れば近くにある建物、路面、木々などが粉々になり収束されているのが確認できる。
(? なぜ僕には作用しない?)
......生物には無効?いや、木が取り込まれている。
人狼は指をこちらに向け叫んだ。
【砂ノ散弾銃】
ドドドド、と豪雨のような砂の雨が真横に降ってくる。
戦闘を見越して作られた魔法防壁、後方の簡易防空壕がこの魔法の威力の前には無意味に破壊され散らされた。
砂煙、故に臭いはわかる。
砂の弾を驚異的な反射で躱しながら狼人がこちらへ走ってくるのに気がついていた。
――ガッ!!
狼人は巻き起こる煙を煙幕としても利用し、僕を行動不能にしようと接近戦にでる。
腕を掴みかまれた――ダガーを握る方......武器さえ抑えれば致命傷は避けられる、か。
「――よし、これで」
ベキィ!!!
「......ッッッ!!?」
狼人の左脇腹を膝で撃ち抜く。勿論、多量の分厚い魔力でガードされてはいたが、僕の集中させたマナの蹴りには一枚の葉にも等しい。
「がほっ、ふっ」
狼人は考えていた。
(なっ、んだとッ!? 膝がくるのは察知していた......だから魔力を集中させガードしたというのに......なんだこの破壊力は!!? 内臓、脇から肩へかけて魔力弾にぶち抜かれたかのようなダメージ!!!)
――レイは、少ないマナをどう扱えば良いかを考え抜いた。
そして、歴戦の修羅と化した彼の導き出した答えは、循環。
己の中で回し、肉体の強靭さを高め武器とする。
創造魔法の使い方を理解し、やり方をかえ、極限まで消費を抑えたやりかた。
それがレイを人間界にいた頃よりも更に強くした。
「ぐふっ、う、腕は......離さねえッ」
「そっか」
ぐしゃ
自由な方の手で目玉を指で潰す。そしてそのまま地面へと叩きつけた。
「ぐああっ、あ!!」
しかし、人狼はこの瞬間を狙っていた。
勝ったと思わせ、そこに生じる油断。
【砂ノ散弾銃】
――ズガガガガ!!!
自身諸共、撃ち抜く。自己犠牲により部下を活かす。
(! 魔力回路を破壊したのに......あれは、さっきの砂の球体! 使い切らずにまだ残していたのか!!)
接近戦ではまず目の奥にある魔力回路を破壊する。そうすれば魔力を魔力を纏ガードすることも出来なくなり、どんな強者でも完全に無力化することができる。
人狼の隊長もこの魔界で戦い抜いてきた強者。それを理解していた。
だから接近戦に持ち込めば100%目を狙われることはわかっていた。
(!! この人狼には魔力がもう......盾として使えない!!)
頭を殆んど潰され、命の灯火が消えかけていた。が、レイの腕を握る力はまったく弱まらない。
「――ッッ!!」
――ドドガガガッ
降り注ぐ砂の雨に撃たれ、血にまみれるレイ。
狼人の魔力の無い肉体は砂の雨で無惨な肉塊にかわる。
「......そっか、こういう戦い方もあるのか」
(先の先を取られた......すごいな。 ふっ、ふふ)
やがて砂の雨がやみ、残ったのは人狼の遺体とレイのみ。
(......強い。 やっぱり、魔界の魔族は恐ろしく強いな......ははっ)
「......ヒール」
マナを循環。僅かなオーラでの肉体の修復。
「さて、残党を追おう」
――レイの赤い瞳が獲物を追う。
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