75.移動
「それじゃあ北の大神門からはいろうかね」
ヒメノがリアナ、アトラの二人を見る。
「わかりました!」「ああ」
ここまでゴブリンに引き続き、更に魔物との戦いを二つ経て、王都の砦までやってきた。
門には黒の騎士団が居るらしい。基本的に神木主による神門は起動しておらず、魔物の類い以外は出入り自由になっているとのこと。
「なんで神門つかわないんですかね」
不思議に思った私はきく。
神門を起動すれば危険な魔物は一切入ってこられない。それこそ、魔界の門が開かれ魔物の強さが平均的にあがってしまった今では、市民の安全面をみても使わない手はない気がする。
「ああ、それは聖騎士達が別任務で町からいなくなったからかな」
アトラが反応した。
「聖騎士がいない? 別任務って、どこへ?」
「んー、詳しいことは公にはされてなくて、わからないけど......なんだか今後ある大きな作戦に関わる任務みたい」
「大きな、作戦?」
「そそ」
「だがしかし、王都を護る警備隊などはいるんだろ?」
「ううん。 一切いないよ......一人残らずみんな王都を出ていったんだよ」
「なんだと......ありえなくないか? 王都に聖騎士が一人もいないなんて」
狼狽えるアトラに私はきく。
「なにがありえないの? 聖騎士が王都にいないとなんか大変なの?」
ヒメノが軽くうなずき口を開く。
「王都ってのは神力で扱う武器が多いんだよ。 あ、武器と言っても剣とか盾とかじゃなく......外部から攻められた時用の固定砲台や城塞防壁、勿論この神門も」
「そうなんだ......はじめて聞きました」
「知らないのも無理はないな。 それらが使われたのは遥か昔、もう百年も前のことだ」
「百年......そんな昔!?」
「まだ魔界と人間界が分かたれて無かった頃の話だからな。
まあ、そんな時代だから対魔族に対し絶大な力を誇ったのさ」
「神力は魔力に強いからね。 それらを使用した武器や防壁で魔族との戦闘は攻め入られていたとはいえ、なんとか優位に運べたんだ。 けれど、それらを扱うためのエネルギー源である聖騎士達が今はいない」
「......なんで、そんな危険な事を? ただでさえ魔物達が勢力を拡大し始めた今......そんな事をすれば、万一攻め込まれたら対抗する術がないと言うことはわかってるはずなのに.......」
何か目論見があるのかな。......いや、絶対にある。だって、レイやルーナさん、そして国王を手玉に取った相手だ。
必ず企みがあるに違いない。
「まあ、とりあえずフェイルたちと合流しよっか。 二人も長旅で疲れてるだろーし」
そうして見えた北の大神門を私達はくぐり、王都へと入ることができた。
門番の代わり、黒の騎士団の騎士が二人立っていたが、どちらも無視どころか反応すらしない。
「さて、すんなり入れたところで、花をさがそうか」
「花?」
アトラが?をうかべた。
「彼女らの教会は地中にあるんだよね。 だから転移するための花を探すの。 亜空間を花の命で繋ぎ、それを入口として出入りするんだ」
「ああ、なるほど......」「うん」
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