66.白蛇
「お前がネネモアを......あの屋敷に」
「ですです。 でも、無駄だったみたいですねえ。 ......あの時、あなたの中には確かな修羅が生まれ心を焼いた。 それこそ全ての憎き魔族共を殺し、新たな人の為の世界を創ろうと、そう覚悟を決めたはず。 なのにっ! まだ!! 命を奪うことに躊躇いをもっているッ!!」
カノンはじっと僕の目を見据えた。
「あなたを繋ぎ止めているのは、やはりあの少女か」
恐怖と憎悪の混ざり合う、言いようのない激情が静かに渦巻く。
「リアナに危害を加えてみろ。 お前は生まれたことを後悔するぞ」
「え、本当ですか? うわあ、どーなっちゃうんだろ? ま、知る由もありませんが。 リアナがどーとかもう関係ありませんよ〜。 あなた人間界から追放されちゃうんですから」
カノンの指差す先、封呪の札が焼かれ扉が開かれていた。残すは結界のみ。
「レイくんという最強があらわれ、この国のパワーバランスが崩れた。 だから、神命教会と国王軍、そしてレイくんで殺し合ってもらって残った瀕死の勢力を叩いて終わり......のハズだったのに。 とんだ期待外れだったなあ」
ルーナが聞く。
「カノン......今一度ききます。 我々とあなたは、同じ思想の元、人の世のため動いていた......なのに、なぜ裏切ったのです」
カノンは大きく溜息をついた。
「あんたが予想以上の甘ちゃんだったからだよ。 今のレイくんとの戦い......もっとやりようがあったでしょう? 例えばフレイちゃんごとカンナちゃんにレイを斬らせたり」
「それは......」
「あんたは非情になりきれない。 大聖女にもなりきれない、ただの小娘だ。 そんな半端な覚悟で世界を変えられるわけないでしょう。 だからもう見切りをつけたんですよ、ルーナ」
カノンは王に指を向けた。
「王、あんたもだ。 無念だろうなあ? あんたに命をかけて死んでいった魔族達は。 アルフィルクがあんたを嫌っている理由が痛いほどわかる......人の心を持った魔族の王よ、地獄で同胞達に詫びるがいい」
――ビシッ
空間が割れる音がした。
「そして、レイくん」
魔界への扉が解放され、影に縛られたレイ、ルーナ、王は引きずられるように次元の歪みへと吸い込まれて行く。
「ぐっ、く......」
「......ッ!!」
王とルーナが抗うが、もうどうにもならない。
カノンはレイに別れを告げる。
「ああは言いましたけど、心配しないでください。 リアナ......彼女は私が責任を持って美味しくいただきますので」
今まで感じたことの無い明確な――
「......お前は、僕が必ず殺す」
――憎悪。
「あはは、楽しみにまってまーす♪」
――視界が暗闇に飲まれた。
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【書籍情報】
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