63.未来へ
〜王の間〜
レイがダガーを投擲しようとした刹那、転移魔法により彼は何処かへと飛ばされた。
「......カノンか」
音もなく部屋に侵入していた彼は、影からズルリと出てくる。
カノン・アルト・クロノス。
直属三騎士とは別の戦闘部隊隊長であり、諜報員。要するに暗部の人間だ。
カノンの使う影魔法には空間を繋ぐ力があり、今のように対象を彼方へ飛ばすことも出来る。
カノンが大袈裟に両手をあげ言った。
「ああ、申し訳ありません、王。 あのまま衝突すればここら一帯が焼け野原となっていたでしょう。 ならばそれを阻止するのが私の役目......冷静になられましたか、王?」
「......お前達にはこの部屋へ入るなと言ってあったはずだが?」
「はい。 相応の罰はうける覚悟です。 しかし、ここで万が一、王が討たれてしまえば民は混乱し最悪崩壊の一途を辿りましょう。 それだけは避けねばなりませぬ故」
「その万が一がおこった場合の後任の者は決めておっただろう。 お前、やはり敵か」
王のオーラがゆらりと増幅しだす。
「嘆かわしいことだな。 鼠の存在には気がついておったが、まさかお前に裏切られるとはな。 ......レイをどこへやった? あれで助けたつもりか?」
「助けた?」
「とぼけるのはやめろ。 魔力を解放している今のわしには微細なオーラの色が見える。 お前から流れ出るそれは敵意」
わしの能力は【双視層哀】
能力発動時、魔眼と化したこの瞳にはオーラの動きや色が見えるようになる。
それ故に、対象の思考や動きを読み取る事が可能になり、未来視にもにた先を読む力が備わる。
レイはこれに似たことを努力の積み重ねとセンスでやっていたがな......流石は神の子と呼ばれた者だ。
「......成る程。 では、殺す前にひとつ。 王よ......貴様、私の妹のことを覚えているか?」
「妹......アーシャの事か」
「おや、意外。 お前のような魔族でも人ひとりの顔を覚えているもんなんだな?」
「......わしは死した聖騎士の名は全て覚えておる」
「ははっ、なんのアピールだ? イイ王様気取りか? もうやめなよ、吐き気がする。 ......私は、私達はお前を信じてここまできた。 人と魔族の和平? 平等な世界? 今の、この世界を見てみろ」
ゾゾゾ――
(――!!! この、莫大な魔力はッ!!)
「この数百年、人の命がどれほど失われた? 私の妹が聖騎士として国の犠牲になり、今日も多くの命が失われた......」
「そう、だな。 わしの力が至らなかったばかりに......しかし、わしは人を」
「黙れ、醜悪な魔族がッ」
カノンの体からいくつもの影が伸びる。それがやがて部屋を覆い、球体となった。
「......妹は、最期まで言ってたぞ。 あんたの世界を、魔族と人が争うことない、優しい世界を信じると」
――二人を閉じ込めた球体状の影が小さくなり
「......すまなかった」
消えた。
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