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60.しろくろ

 


 ――ロキとヒメノの動きは最早人のモノではなかった。


 人と魔族との壁。魔力の動き、流れには限界があり、決して人間はその領域へと行くことはできない......はずだった。


 トリガーは『死』に触れた事。


 魔力は厳密にいえば生命力。


 死の淵へ落ちた事により、その命の輝きは大きくなった。


 ロキの攻撃を紙一重で躱していくヒメノ。


「はははっ! ヒメノ! なんで魔力の無いお前が俺の動きについてこれてんだよ!!」


 掴みかかろうとするロキの手を二対の剣で弾き飛ばす。

 さらには腹部を蹴り、距離をとる。


「そんなん教えるわけないじゃん。 ......と、言いたいところだけど、まあいっか。 今のあたしには魔力の代わりにながれているオーラがあるのよ」

「魔力の代わりに......てめえもレイと同じって事か?」


「違うわ。 ......あたしは【剣聖の加護】を今まで勘違いしてたみたいでさ。 これまでは危険予知や魔力補助するだけの力だと思っていた......でも、そうじゃなかった」

「?」


「この【剣聖の加護】っていう力の正体は、今までの......歴代の剣聖達の魂だったんだ」


 ロキとフェイルは即座に理解する。その力の異質な脅威に。

 ロキがいう。


「.......つまりは、呪いって事か」


「そう。 もうわかったでしょ。 今のあたしに流れているのは魔力じゃない。 【呪力】よ」


【呪力】縛りにより固定された魂が、強い想いにより発するオーラ。それは同じ呪力を使うものにしか見えず、魔力を越える質を有する。


「あたしは魔力を失ったかわりにこの【剣聖の加護】の秘密に気がついた」


【剣聖の加護】に秘められた魂は六つ。自身に憑依させる事で、六つの魂が有する記憶と経験、呪力を扱うことが出来る。それはSSレート相当の魔族が持ち得る魔力と同じ力である。

 ただし、憑依時はリスクもあり、その大きな力は肉体への負担となる。

 そして、呪力では魔力を受けることはできない。つまり、魔力で攻撃されれば、それは生身の肉体で攻撃されると同じである。


「おもしれえ!! いいなあ、その能力!!」


「!」


 ロキのオーラが高まると同時に、体から無数の蝶が飛び出した。

 それはオーラでできているようで、青白く燃えるように羽ばたく。


「ヒメノ、お前の力も俺がいただくぜ」

「......無理よ。 あんたここで死ぬんだから」










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【書籍化情報】

11/17KADOKAWA電撃の新文芸様より発売!活動報告に書影とキャラデザがありますので、よろしければご覧になってください!

眠介先生の美麗なカバーイラストが目印!

描き下ろしの特典SSもつきますので、予約よろしくお願いします!

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