58.花蓮
次々と繰り出される教徒の連携攻撃。
カンナをサポートするように、ミミラとフレイが僕の隙をついて魔法を撃ってくる。
この三人は前衛となり、残りの教徒二人とルーナを遮るよう動き僕からの攻撃を防いでいた。
(残りの教徒はヒーラーか? もしくは幻術か付与?)
「ルーナ」
「はい」
「君は......王を討つと言っていた」
「ええ。 彼も魔族なので」
「さっき僕は、君に転送されなければ王を殺せていた。 それから僕と戦えばよかったんじゃないか? あのタイミングでの転送は......王を助けるためとしか考えられない」
「ああ、そうですね......」
「お前は信用できない」
「ふふっ。 王は魔族です......けれど、表向きはこの人の世の王であることには変わりない。 彼が突然殺されれば人は混乱し国が崩壊するでしょう。 なのであの場で死なれると、とても困るのです」
――ガキィン!!
カンナの大鎌をレイがダガーで受け止める。
彼女の背からは白い神力が噴射し、まるで白竜のつばさのようだ。
「レイ。 あなたはカンナの過去を知っていますか」
「......?」
「彼女の一族はある魔族に呪いをうけていて、人よりも魔力が多いのです。 しかし、そのせいで日々増していく魔力に肉体が耐えきれず、齢二十になるまでに亡くなってしまう」
カンナと膠着状態になっていると、両サイドからミミラとフレイが魔法を撃ってくる。
雷の矢、炎の矢が放たれ、僕は体内にあるセフィロトの根で弾き落とす。
「去年の春に彼女の妹はその呪いで死に絶えました。 ......ミミラは各地を転々と回る商人の娘だった。 父親は道中に出くわした竜人族に喰い殺されました。 恐怖で動けなくなった彼女は父の遺体の前で嬲られた」
『ねえねえ、お話し......ちゃんときこうよ』
耳元でレイの声が囁く。
「うるさいっっ!!」
セフィロトの樹がレイの背後に突きだす。
「フレイは聖騎士を父に持つ娘。 ある戦のあと、帰ってきた父は右手首と頭だけでした。 彼女は知りませんが、報告書の内容では、彼女の父は苦痛を与えられ遊ばれ殺されたみたい」
セフィロトの根がレイへと接続される。
「レイ、私なら......あなたの力をちゃんと使ってあげられる。 この子達のような、そう。 ネネモアのような悲しい運命にある人を救うことができる」
ルーナの手元に光が集まる。
「私のこの精神力ならば。 ......あなたには無理でしょう? 皆の傷を背負うのは」
「僕が背負うのは、一つでいい」
やがて光が弓に変わり、同じく造りだした矢を構えた。
レイは覚悟を決めた――
(もう、失うのは......)
リアナの声
微笑み
悲しむ顔
(......嫌だ)
大切な想いを握りしめた。
ダガーがマナで赤く染まり、暗く光る。
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