6.月
「こちらが客室です。 レイ様には滞在中、こちらにご宿泊していただくようになっております」
見れば客室というか、とても豪勢な一軒家だった。
「すごい......」
中に入ると、リアナが感嘆の声をもらした。
至るところにある魔石の照明器具、一見しただけでわかるテーブルや椅子、高級品の家具の数々。
「ここ、ホントに客室? 大聖女のプライベートルームとかじゃなくて?」
あまりの上質な家に、もしや僕らは何か勘違いをしているのでは?と再度、教徒にたずねてしまう。
「いいえ、こちらは客室です。 ご自由にお使いください」
「必要な物があれば、そちらに置いてあるベルを鳴らしてください。 すぐに教徒がお伺いにあがります」
高待遇過ぎる......それほどまでに僕の力を欲しているのか。
「あ、ですが。 お荷物を置かれましたら、一度、大聖女にお会いして頂きたいのですが」
「よろしいでしょうか?」
「うん、わかった。 僕も彼女と話がしたい」
どうして僕を助けてくれたのか、その理由ははっきりさせた方が良い。
おそらくは何かしら要求してくるのだろうけど、助けてくれたのも事実。
今後の事も考えると協力関係を結べるのなら、ある程度の要求はのんだほうが良いだろう。
そんな事を考えながらリアナと僕の用意が終わる。各自部屋に荷物を置き玄関へと集まった。
「では、参りましょう」
「うん」
教徒の一人が手を差し出した。
「お手を」
手を?ああ、転移するのか......。
「リアナ、君は僕の手に」
「はい、わかりました」
教徒から流れたオーラが僕らに行き渡ると、視界が光に覆われた。
そして数秒経つと、薄暗い場所に出ていた。
辺りには、いくつもの蝋燭と天井から垂れ下がるヴェール。
その奥にあるシルエットは、おそらく......。
「......ようこそ、はじめまして、レイ、リアナ」
水の様な透明感と、虜にするような甘い声。
「私は神命教会、教皇ルーナ・ヌォーヴァ。 多くの方には大聖女の名で呼ばれております......よろしくおねがいしますねって、」
僕らも名乗ろうとした時、ルーナがその可愛らしい声で小さく叫んだ。
「あ。 あ、いけない! ......ごめんなさいっ!」
「「!?」」
「私ったら、顔もお見せせずに! ......失礼しました、今そちらに」
幾重にも重なるヴェールの向こうから現れたのは、一人の少女。
まだあどけなさの残る、顔。そして心を見抜かれそうな鋭い切れ長の目と、うっすら碧みがかった銀髪が特徴の、美しい女性だった。
「お越しいただきありがとうございますね、お二方。 改めてよろしくおねがいします」
「お、お若い......ですね、私と同じくらい?」
リアナが聞くと、ルーナが微笑みそれに答える。
「ふふ、そうですね。 肉体の年齢は18ですが、生きた経験年数はもう数える事が出来ないくらいのものですけれど」
「それって......?」
それには僕が答えた。
「大聖女は記憶を受け継ぎ繋がり続ける。 彼女は遥か昔からの記憶や経験をその魂に宿しているんだよ」
「え、そ、そうなのですか!? と、言うことは......すっごくお姉さん!」
キョトンとするルーナ。
「え、あ......そうですね、ふふ。 お姉さんと言われるとは思いませんでした」
「今の君は13代目かな。 僕が最後に会ったのは君では無かった」
「ええ、そうです。 先代は私に全てを託しました、頑張らねばなりません」
ぐっ、と握りこぶしをつくるルーナ。一見普通の少女に見えるが、長きを生きている経験や想いにより、その精神は人のそれからかけ離れているのだろう。
嘘と真実、表情や動きによる判断がつかない。
「さて、ルーナ。 事をせいているようで悪いが、こっちも時間が無い」
このままではセフィロトで仮死状態のアーゴンの身が保たないし。
「君が僕達を助けた目的は?」
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