56.平和の対価
大聖女ルーナ。そして、その後ろには六人の教徒が並んでいた。
ミミラ、フレイ、カンナ。彼女らも居たが、様子がおかしい。
皆、黒い目隠しをされ、脱力状態でゆらゆらと立っている。
「レイ、私は無駄な争いをしたくはありません。 なので単刀直入に......簡潔にあなたへ提案をします」
「提案?」
ルーナはひとつ頷くと、優しく微笑んだ。
「その体を私にください。 ユグドラシルに接続された、最強の肉体を私に」
「は?」
何を言われたのか分からなかった。仲間だと思っていたルーナからの言葉。
体を寄こせと、彼女はそういった。はっきりとそう聞こえた。
「今、なんて言ったの? 体を?」
「はい。 かならず平和のために有効に活用する事をお約束しますよ。 心配はいりません。 あのこ、リアナとアトラの安全も保証しましょう......あなたの自我が消えた後の事も大丈夫です。 私達にまかせて」
「......いやいや、勝手なこと言うなよ。 渡すわけ無いだろ。 僕はまだ死ねない」
「あら、そうですか。 ......まあ、それもそうですよね。 ふふっ」
「何がおかしい?」
「あ、いえ。 いつまでそう気丈にふるまっていられるのかなって......ふふふっ」
ケタケタと笑う彼女に不気味な感覚を覚えた。
(ルーナは王と繋がっていたって事だよな)
しかし、この時レイの本能が確かに訴えていた。
何かが不味い。この場所にいてはいけないと。
「――レイ」
「!」
ルーナから伸びた神力。そのオーラが六人へ繋がる。
そして火が点るように、目覚めたかのように、六人が動き出した。
一斉にこちらへ向かってくる教徒。先頭はカンナ。
美しい銀髪をなびかせ、物凄いスピードで突っ込んでくる。
「!」
布に包まれ分からなかったが、カンナの背負っていた物が武器だということがわかった。
大きな鎌。まるで魂を狩る死神が使う大鎌。
それが折りたたまれていた。
起動した大鎌をレイを目がけなんの躊躇いもなく振り抜く。
「カンナ!! やめろ!!」
「......」
呼びかけるも返答は無く、流れるように斬撃が続く。
それと同時に他、五人の教徒も連携を取り攻撃を加えて来る。
(この六人、保有オーラの動きが妙だ......迷いが一切無い!)
どんなに息の合うペアやパーティでも連携の際には味方に攻撃を当てないよう、そのオーラの動きには躊躇いが現れる。
けれど、彼女達にはそれが一切無い見受けられない。
(おそらくコントロールされている。 あのルーナから伸びているオーラは、神力強化は勿論......操るためのものだったのか)
「くっ」
「レイ、降参して。 あなたにこの状況を打開できる術はないわ」
この六人、戦闘力はかなりの物だ。僕の動きについてくる。
とすれば、全員最低でもSレート以上の身体能力があるな。
特に危険なのはカンナだ......『王界種』である龍神属、ニルヴァーナを組み合わされた身体能力は僕に匹敵する!
「セフィロト!」
レイとカンナの間にセフィロトが現れた。
(ルーナを攻撃するには遠い......なら、先ずは援護している教徒を戦闘不能にする!!)
――ズガガガ!
無数の光る根が教徒達の足元から現れ、その動きを止めた。
(――!? 根が出しにくい!? けど、拘束はできた......!)
「――ミミラ、ごめん」
教徒を全て行動不能にすれば、おそらくルーナに戦う術は無くなる。
(......後で必ず治すから)
ミミラの手足を切り落とそうと、ダガーを構えた時。
「あ、あれ......? 暗い......なに」
ミミラの意識が戻る。
(!!)
コントロールを解除した!?
ルーナが嗤う。
「四肢を斬り裂いてもいいですけど......痛みで死んじゃうかもしれないですね? ふふふ」
その一瞬の隙。
巨大な神力の塊がレイを飲み込み、吹き飛ばされる。
「――!!?」
それは龍、ニルヴァーナのブレス。カンナから放たれたものだった。
セフィロトによりカンナは身動が取れない。それがレイの油断を生んだ。
「残念。 カンナは龍との混ざり物......頭だけでも戦えますよ」
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