52.乱入者
やりよう次第では勝てる。そうスサノオは思っていた。
しかし......
「ごぼっ、ぶふっ、はっ、が......」
能力を無視してしまえる程の圧倒的オーラ量。そして、質。
レイの力は最早この国にとどまらず、世界レベルで見ても『最強』といわれる程のモノとなっていた。
それは事実、国一つを実質一人で落としてしまえた現状が物語っていた。
(......この迷いは何だ? 同じ血が流れているかなのか......?)
掴んだスサノオの顔。あとはオーラを流し、本体となる核を破壊するだけ。
しかし、レイの心には躊躇いが生まれていた。
「レイくん」
「!」
赤い着物を着た男がそこには立っていた。頭髪も赤く、その瞳は対象的に青い。
「私がアマテラスだ。 その子を殺すのはやめてくれ」
「何故だ? 殺し合いを仕掛けてきたのは君たちの方だろう? おそらくは、ツクヨミ......彼の月を使った幻術で僕をここへ誘った」
「ああ、そのお通りだ。 しかし、我々に君を制御することも殺すことも出来ない事がわかった。 我々の負けだ」
両手をあげたアマテラス。敵意はない。
「むしのいい話であることは承知の上でだが、これ以上はもうやめてくれ。 ......被害が大きくなれば国の存亡に関わる。 かわりに君の望みを叶えよう」
「望みを......君がか?」
「いや。 それは王が君の要望を聞く。 私が案内しよう」
「......わかった」
スサノオを離し、接続されていたセフィロトの根を解除した。
彼女の核の位置はオーラで探知してわかった。いざとなれば数秒で殺せる。
そしてアマテラス。彼の能力がどういうものなのか分からないが、おそらくは僕の方が実力は上だろう。
「こっちだ」
「うん」
戦闘により半壊し、剥がれ落ちた城の空中庭園の一部。
木々が逆さに突き刺さり、月明かりに照らされている。
足元に落ちているユニコーンの絵画。この国の勇者の象徴が地に落ちているのが、魔族が支配する実状を表しているようで笑える。
「ここだ」
到着した扉。王の間。
ゆっくりとそれが開かれた。
♢◆♢◆♢◆
――光る白い花。
「......彼は、王の間についたのですね」
白きローブを纏う彼女。
戦闘服へと着替え、歴代の聖女が戦いに用いたと言われる宝杖を手に取る。
「ええ。 予定時刻よりも大分早い......彼の戦闘力は測り知れませんね? 準備、大丈夫ですか?」
大げさに身振り手振りで男は話す。
「勿論です。 私には沢山の家族がついています」
彼女は目をつむり祈る。
かつて国の陰で魔族に奪われた尊き命達。
「私は全てを背負い、必ず......この国を、いえ。 世界を魔族の手から奪い返します」
「悲願が達されるのですね」
「はい。 今日がその日です......では、運んでください。 貴方の転移魔法で」
「わかりました」
魔法術式が綴られている床の中央へ彼女が移動する。
「では」
空間が歪み、彼女の姿は飲み込まれ、やがて消えた。
「さようなら」
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【書籍情報】活動報告にてカバーイラストとキャラデザを公開いたしました!
レイ、リアナ達が眠介先生の美麗なイラストで描かれています!




