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51.追跡

 


「焦んなよ! 今だ、アマテラ......ぐぶ、がはっ!?」

「!? ツクヨミ!?」


 突如苦しみだしたツクヨミ。


「ああ、そこに居たのか」


「!?」


 さきのスサノオの攻撃により瀕死の重傷を負っていたはずのレイが、まるでなにもなかったかのように平然とそこに立っていた。


「意識を、失ったはずでは......」

「うん。 でも、僕のセフィロトには自動修復の能力を付加してあるから。 僕の意識が無くなっても勝手に傷は治るんだ」


 本来、ヒーラー等の魔道士は頭で考え、術式を詠唱し初めてその魔法が発動する。

 高位の魔法使いならば詠唱をせずとも、発動することが出来るが、発動条件をみたす『思考』がなければそれも不可能。


 しかし、レイはセフィロトに自身の意識が消失した場合において、自動でヒールを発動するというプログラムを施していた。


(......僕に仲間はいない。 頼れるのは自身の力のみ)


「それより、いいの? ツクヨミって人、死ぬけど」


 ツクヨミの全身から光る根が無数に突き出ている。そして彼の体中を締め付け、身動がとれない。


「今まで僕が戦っていたのは、彼の幻影だったんだね。 今、セフィロトの攻撃を受けているのが本体、でしょ」

「!!」


 レイは【自動修復(オートヒール)】が発動したとき、それを阻害されないようもう一つの能力をプログラムしていた。

 それは、自身の意識がなくなった時、その無防備な自分へ敵意を向けているものに襲いかかる【復讐者(リベンジャー)


 セフィロトの根が【自動修復】の発動中に、周囲のオーラの揺らぎから攻撃意識を読み取り、オートで攻撃を始める。


「......なぜ、これは......どういう事」


 困惑するスサノオ。その動揺は奇襲が失敗したことによるショックによるものかと思ったが、すぐに理由がわかった。


「ああ、そうか。 君ら自体、オーラで作られたものなんだね」

「......!!」

「僕の【復讐者】はオートで攻撃をする。 だから例え僕に幻術がかかっていたとしても、セフィロトの根は自動的に対象本体の命を奪いに行く......根が向かった先は」


 下を指差し、レイは嗤った。


「城の地下、だよね? そこに君たち三騎士の核があるんだ」


 封じられた彼らの心臓。そのひとつ、ツクヨミの核は僕の根が蹂躙した。あと、二つ。


(......結界により守られているけど、僕の力ならただの硝子にも等しい)


 ――瞬間、スサノオは盾と剣を出現させレイへと斬りかかった。


 レイは思考する。


 魂の抽出。肉体の一部を固定し、そこに魂を付与し、核を作る。


 彼らはおそらく勇者の血を引いている。

 オーラでの肉体を作り出し留める......それは魔力では不可能な域の力。


 剣を振り、盾で撹乱。


 僕をどうにか食い止めようと奮闘しているが、その表情からは焦燥が見て取れる。


(......アマテラスはいつ姿をみせる?)


「ねえ、スサノオ。 君はなぜ命を差し出してまでこの城を守るの? その体じゃあもう自由には生きられない......君の一生をかける価値があるのか?」


 真上から垂直に振り落とされた太刀。それを僕はダガーで受け止めた。


「価値? 我々の命に価値などない! 私が命をとして護りたいのは、この国の民!! 価値などで推し測れるモノではない!!!」

「!」


 彼女は本気で言っている。この国では魔族に支配され、命を落としている人間がいるというのに......彼女は、それを知らない。


 おそらくは王や上層部にコントロールされている。なら、もう仕方がない。

 同じ勇者の血を引いているとはいえ、洗脳状態にある彼女の意識を変える事は難しい。


 ましてや、心臓を握られている状態なら尚更だろう。


「そう、なら」

「......!!」


 その想いを抱いて、眠れ。


 ――セフィロトの根がレイの背へ接続される。


 世界樹からのマナを根を通し、直接的に流し入れた事により、体がその負荷に耐えきれず壊れ始めた。


 魔族に対抗する為に作り直した肉体ですら、耐えられない領域の力。


 全身から立ち昇る真っ紅なオーラ。


 レイの左目は紅く燃え上がるようにマナが噴出する。


 そして血の涙のような、マナが頬を伝い――



 ドゴォッッッ!!!


「――ッ、がはっ!!!」


 スサノオを盾ごと蹴りぬいた。


 恐ろしいほどの硬度を誇るスサノオの盾。しかし、レイの蹴りにより跡形もなく消し飛ぶ。


 その反動でレイの脚も砕けるが


「......ヒール」


 一瞬で元に戻る。内包する莫大なオーラにより、肉体が壊れ続け、しかしレイのヒールにより直され続ける。


 動けなくなったスサノオ。見れば今の蹴りにより半身が消え去っていた。


(オーラのみで構成されているこいつらは、時間が経てばすぐに元に戻る......)


 レイは動けなくなったスサノオの頭を掴む。


(このまま僕のオーラを流し、元となる核を潰す)


 しかし、このときレイは微かな違和感を自覚する。


 スサノオに敵意が無いこと。


 あればツクヨミのように【復讐者】で勝手に殺されていたはず。


「......君は」









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