48.鳴神 (アクロ視点)
――なんだ、これは......!!?
奴が麒麟と呼んだ瞬間、途轍もない電流がその体を覆った。
(!? な、何が起こってやがる!!?)
黒魔道士の体は黄金に輝くオーラに包まれ、それによって形作られた角の様な物が額に、尻尾の様な物が腰からはえていた。
こ、これは......俺のこの全力の雷砲じゃあ、ダメージを与えられねえぞ......!!
――しかし、その瞬間。アクロは僅かに勝機をみつける。
(いや、まてよ? コイツ......このオーラを維持したまま戦うのか?)
この魔力量はSSレートの魔物に匹敵するぞ......!こいつが半魔で如何に魔力耐性があっても、人は人!おそらく肉体が耐えられなくなる!!
だったら攻撃を避け続けられれば――
ボッ
突然、視界が天を駆け体が軋んだ。
ドオンというけたたましい音と衝撃。
「がっ、は......ぐお、おお......」
全身がバラバラになったかと思う程の力。
気がつけば俺は城壁ごとぶち抜かれ、城内の壁にめり込むように埋まっていた。
(くそ、両腕が...折れて...)
眼前には黒魔道士がいた。俺の両腕を掴み、組み付いたまま。
強力な雷魔法による身体強化、それによる体当たり。
それはまるで伝説の霊獣麒麟が突進したかのような破壊力だった。
「......っ、はあ......はあ......」
「......!」
黒魔道士の体から、金色のオーラが消えた。
今の技により奴は全ての魔力を消費したようだった。
肩で呼吸をし、目は虚ろ。しかし、こちらも今の一撃でオーラは剥がされ両の腕は壊され、もはや戦える状態ではない。
「......あなたの......負けね......」
「ぐ、っ......くそ、化物め」
――フェイルは本来アクロを一撃で殺すことが出来た。
この身体強化の他に、アクロと同じ雷砲のような技『鳴神雷疾』というオーラを一点放射する物があり、それはアクロの肉体を一瞬で蒸発させられる程の破壊力を持っていた。
しかし、フェイルはあえて戦闘不能にするに留めた。
「......おまえ、どういうつもりだ......」
殺されたと思ったが生きている。明らかに生かされたその事に沸々と怒りが沸き起こる。
「なぜ手加減した......お前のその力なら、簡単に殺せただろう」
「......あなたも......大切な人がいるから......」
「......! だから殺さねえってのか?はっ、馬鹿野郎だな......お前らが殺した奴らにも大切な奴はいた......俺だけ見逃すってのは、愚かだぜ......」
「......そうだね......でも、あなたはまだ間に合う」
「ああ?」
「......レイが......今日、王を討つ......だから、世界がかわる。 そうすれば、あなたが娘さんの為に戦う必要もなくなる......」
......馬鹿か?王を討つ?世界が変わる?
有り得ねえ。城内に居るのは俺なんかよりも遥かに強え化物だらけだぜ。
王どころか、そいつらを倒すだけでも不可能だろ。
「......出来るわけねえ」
「......出来るよ、レイは強いから......それに、あなたはもう何もできないでしょう。 ......この戦いがどうなるかを見てから......どうするか決めたらいいよ......」
......ちっ、確かにもう俺には戦う力がねえ。
王を討つ、か。
もしそれでこの国が根本から変わるとしたら......
『......お父さん!いつまで寝てるの! はい、起きて起きて』
――娘の笑顔が頭に過ぎり、胸が締め付けられる。
確かにそんな夢が現実に変わるのかもしれない。
......どうせ傍観するしかねえんだ。だったら、望む未来を......願ってみても良いかもな
――グシャッ!!!
◆♢◆♢◆♢
笑みを浮かべたアクロ。
しかし、その瞬間彼は頭の無い遺体と成り代わった。
「――な、なんで......」
アクロの頭上から降ってきた黒い影。
彼はその影により、無惨にも頭を潰されてしまった。
その影の正体、それは私の知っている人物だった。
だが、頬やつれ色白というより、もはや殆ど青い肌色。
纏う濃い血の匂い、青黒く変色した髪色。
殺意に満ちた目つき。
......その姿は魔族を彷彿させる。
「......あー、脚が汚れちまったなぁ......まあ、いいか。 ふひひっ、久しぶりだなあ、フェイル?つーか、お前生きてたんだなぁ?」
潰れたアクロの遺体を引き寄せ、彼は歪な笑みを浮かべた。
「......ロキ......なぜ」
――彼は私を見て舌をなめた。
「......ああ、美味そうだぁ。 ひひっ」
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タイトル↓
【世界最強の闇(病)みの社畜】異世界へと転移し最強の闇(病み)魔法が発現。〜俺の抱える闇が最強の魔法になるって本当ですか?心優しい社畜は破壊神と化し、闇の王となった~




