表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/86

5.教会本部

 


 ――王都の街中には緑が多く、色とりどりの花が咲いている。


 それは、神命教徒の教徒達が植えて世話をしているもので、表向きは街の外観を良くするため。


 しかし、その真の理由は協会本部への出入口を作るといったものである。


 そしてそれを知るものは一部の教徒と大聖女、そして白魔道士ギルドのマスターとその一部しか知らない。


「あった......今はこの青い花がゲートになっているはず」


 ※出入口(ゲート)となる花の種類は一定期間で変わる。


「レイは、なぜこの出入口を知っているんですか?」


「ん、ああ......まあ、僕は一応白魔道士ギルドのメンバーだったから。 多分この創造魔法()で気に入られたんだろうね......当時の大聖女が僕の前に現れて「気が向いたら来い」って、この話を聞いたんだ」


 鍵もその時貰ったが、魔法で作られており一定期間で効力が消滅するらしい。


 リアナは目を見開き驚く。


「大聖女様にお会いしたことがあるんですか!? 凄い......彼女は教会本部から出ることはないと言われているのに、レイに会うために」


 確かに安全面を重視するあまり、彼女は基本的に表には出てこない。

 前にあった時は「ひきこもり、最強です」とか言ってたな。


「僕というよりは、能力が欲しくてだろうね」


「そうでしょうか。 けれど、やっぱりレイは凄いです......大聖女様にまで力を認められているだなんて」


「でも、その時は僕は僕の能力の本質を理解していなかったから......からかわれているのかと思っていたけど」


「ふふ、レイらしいですね」


 クスクスと笑うリアナ。......かわいいな。


「それじゃあ、入るよ」


「はい、おねがいします」


 オーラを青い花へ流し込む。


 ぼんやりと闇に光る青。


 リアナと手を繋ぎ、教徒から貰った『光の欠片()』を花へ近づける。


 ――シュン


 二人の姿が消えた。




 ◆◇◆◇◆◇






「――お待ちしておりました」



 移動した先。目の前には宿へ向かう途中に出会った教徒二人がいた。


「あ、うん。 お邪魔します」


「お、お邪魔、します......」


 天にあるステンドグラス。そこから差し込む光は月明かりか、それとも魔石による魔晄か。


 視線を周囲に巡らせれば、王都や各地にある大聖堂や教会のような洋装だ。

 ただひとつ違う所があるとすれば、その規模である。


 転移先はバルコニーのようになっていて、二階にあたる場所と思われるが、それ故に内部全体を俯瞰で見渡せる。


 眼前に広がるは、アーゴン邸を上回るのでは無いかという広い敷地、そこに建てられた建造物の数々。

 この場所自体が建物内だというのに、さらに中央に巨大な教会がある。


 ちょっとした街だった。


「......す、すごい」


「あ、ああ......ここは、何処なんだ? 王都の中にあるのか?」


「え、レイ、来たことあるんじゃ」


「いや、いつでも来いとは言われていたけど、来たのは初めてだよ。 すごい規模だな」


 隣にいた教徒から、「ふふん」と得意げに鼻を鳴らした音を聞いた。


「どうです、レイ様。 素晴らしいでしょう我らの大聖堂は?」


「そう、ですね。 すごいですね」


 本当に誇らしく思っているんだろう。腰に手をあて胸を張り得意げだ。


 ......。


 けど、本来こういった......彼女のような振る舞いは、教徒として品格が下がるとされ禁じられているはず。

 隣に教徒が居るのに大丈夫か?


 でも、まあ、その禁を破ってしまうのも理解できる程の、美しい街並みだな。


「......」


 僕はふと気になってもう一人の教徒を横目でみる。 


 彼女は手帳に何かを書き綴っている。


 あ......やっぱり。あれ、多分今の彼女の行為をメモしてるんだろうな。


 手帳に「罰」と書いてある。


 神命教徒は二人一組で行動することが多く、こうして互いに正し合うように教えられている。


 やっぱり後で何かしら罰を与えられてしまうのか、ご愁傷さま。


「あっ、あ......ふあ」


 それに気がついたようで先程の得意げだった教徒は泣きそうな声をもらす。

 目玉が落ちるんじゃないかっていうくらい目を見開いていた。


 ......。


 ヤバいな、ちょっと面白い。こんな教徒も居るんだな......ダメだ、笑っちゃいけない。


「れ、レイ様......」


 え、や、やめろ!そんな仔犬のような潤んだ瞳を向けるな!僕にどうしろと!?


 ......くっ。


「......えっと、今の罰は無しにして貰えませんか?」


 教徒は首を横にふる。


「それは出来ません、これも教育の一環なので罰はしっかりと受けさせます」


「あ、あひぃ」


「あひぃ!?」や、やめろ、せっかく擁護してるのに......笑わせるな!!

 横目でみたリアナもな戸惑っているように見えた。


「そこをなんとか、僕の顔に免じて......あなたの懐の深さと慈愛の心を、大聖女にお会いしたときに、お話しします。 それでも駄目ですか?」


「! わかりました、今回の件は不問で」


 自分の得になるとみるや、すげーあっさり飲み込んだな。教徒の方々って皆こんな感じなのか?


 ......ちょっと心配になってきたんだが。


「あり、がとおお、ござい......ひっく......うぐぅ」


「ぶふっ、ちょ」


 涙と鼻水まみれになっている彼女を直視して、つい噴き出してしまった。







【とても重要なお願い!】

先が気になる!はやく更新してほしい!と思った方はブックマークや広告の下にある☆☆☆☆☆で評価してくださると、執筆のやる気があがり更新を頑張れます。

評価とブックマークをいただき、ポイントが入るとランキングを上がる事ができ、多くの方に読んでいただけるようになるのでよろしくお願いします!

執筆を続ける力になりますので、なにとぞお願いします!( ノ;_ _)ノ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ