47.暗雲
「――ッ!!?」
アクロの保有していた全ての魔力は、雷と共に吹き飛ばされ空へ消えた。
(な、んだと!? これは......コイツの魔法性質は磁力じゃない!?)
「......これで......もう終わり。 魔力がなければ...魔術師は戦えない......」
フェイルの魔法性質は磁力ではなく、防壁。うけた攻撃の威力をその内へ溜め込み、彼女の合図で発露する。
先のアクロからうけた格闘での攻撃は、自身の体に纏うオーラを簡易防壁とすることでダメージの全てを吸収した。
「......てめえ、無傷......だと」
「......残念でした......。 いったでしょ、私のほうが......上......」
フェイルが扱うオーラは魔力からマナに変化した。元々オーラ操作の力が秀でていた彼女は、アクロと同質の電力にマナを変化させることで彼のオーラへ接続することが完了する。
そして、その流れを強制的に操作し、オーラごと武器を地面へ叩きつけた。
これにより、フェイルはアクロに能力を磁力だと誤認させる事に成功。
肉弾戦に誘い込み、アクロの全身に宿る全てのオーラを操作出来るよう接続。
そして至近距離で防壁の溜め込んだ力を開放し、アクロの全てのオーラを引き剥がした。
1、魔法防壁。
2、マナによるオーラ操作。
3、ユグドラシルによる尽きぬオーラ。
この3つの能力により、フェイルは最強の魔道士と成った。
「......まさか......くく、お前......そうか。 これが、お前の能力......」
そのとき、フェイルはオーラを纏わぬまま逃げようともしないアクロをみて違和感を覚えた。
(......オーラがなければ......私の攻撃をうけられない......なのに、彼に焦りがないのは何故......?)
「くくく、さあ......そんじゃあ」
にやりとアクロが笑った瞬間――
その全身に、先程以上の途轍もなく莫大なオーラが戻った。
「......!!?」
「はははっ、驚いたか!? お前もオーラを供給されているようだが、俺も同じさ!! ......そして、これがこの国の闇って奴だ! くくっ」
(......これは......)
フェイルの眼は魔眼である。
その眼に宿るはオーラを識別する能力を兼ね備えている。
(......誰かの......命から抽出しているオーラ......)
「娘がよぉ」
「......?」
「俺にはいるんだ」
アクロの目には覚悟の色が強く現れていた。
「俺は娘を守るためなら、こいつらの......奴隷達の命をも使う」
「......!」
フェイルは直感した。国の闇......それはある実験。
強力な魔術師へオーラを供給し続ければ、半永久的に戦える無敵の魔術師を作れる。
しかしそれは、人から人への魔力供給は命から魔力の凝縮体を生成する事でしか不可能だった。
※奴隷紋では魔力の受渡に限界があり、契約数も限られているため使われなかった。
「......作ったの......人の命から......」
「ああ、国は奴隷の命を使い、それを作ることに成功した......とある場所にそれは保管されていて、今俺に流れてきている魔力はその魔力だ」
......赤色碑、賢者の石、女神の涙。
伝承によればそれらを作るには数万単位の命を必要になるとある。
フェイルはアクロを睨みつけたが、アクロは悲しげに微笑んだ。
「んな目ぇすんなよ......お前だってそうだろ。 大切な奴の為に......他の犠牲を厭わない。 現にこの戦いで多くの命が失われている......違うか?」
(......確かに......私が彼を否定する事は出来ない......)
「......誰かの為に......あなたの娘さんは......それを望んでいるの......?」
「......望む望まないじゃ無え。 俺が負ければ殺される、それだけだ。 ......ま、人質ってやつだな。俺が逃げられないようにするための、な」
「......」
アクロの話は嘘かもしれない。しかし、言いようのない思いがフェイルの胸の奥に巡る。
(......この人も同じ......守りたい......大切な人の、為に......)
アクロはフェイルへと手を向ける。
「だから、これで......死んでくれや」
アクロが全ての魔力をその手に集中させる。負荷により肌が裂け、鮮血に塗れ、電撃により焦げ黒くなり始めた。
フェイルへ近寄ればオーラを操作される危険性がある......故の遠距離砲。
数千の命を......己が全ての魔力を込めた雷砲は、おそらくフェイルの魔法防壁でさえ防ぎようは無い。
しかし、リスクはある......これ程の力を放てば発射元である腕は吹き飛び、もう戦えない。
(......悪いな、半魔の嬢ちゃん......俺には娘が全てなんだよ。 あいつの為なら......悪魔にでもなるぜ)
アクロはその時、愛しい我が子の顔を思い浮かべる。
微笑む可愛らしい少女は、くしくもフェイルと同じくらいの年齢だった。
重なる罪とその苦しみが心を蝕むが、止まることは娘の死を意味する。
そして、フェイルは――
「......来て、麒麟......」
雷魔法の根源たる、霊獣『麒麟』の名を呼んだ。
【とても重要なお願い!】
先が気になる!次は!と思った方はブックマークや広告の下にある☆☆☆☆☆で評価してくださると、執筆のやる気が瀑上りです!更新を頑張れますので、是非よろしくお願いします!
【評価】【ブックマーク】は執筆を続ける力になりますので、なにとぞお願いします!|ΦωΦ)




