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アスター

 



 黒い濁流、彼方を流れる光。


 大きく揺らめく私の意識。


 体中を切り裂かれたと言うのに今は全く痛みが無い。それどころか、感覚すら朧げで夢の中に泳ぐようだ。


(......と、言うことは......やっぱり、私、アンデッドテラーに......殺されたんだ......)


 冒険者をしていれば、死と隣合わせ。だから、いつかはこういう日が来ることもあるんじゃないかと、そう思っていた。


 しかしながら、この命を彼へ手向けられた事には満足していた。

 喜ぶかどうかはともかく、あの時できずに後悔していた事が叶った。


 命惜しさの逃亡。大切な人を見捨てるという愚行。


(......あの人はまだ生きている......)


 合わす顔もないから、これでいい。


 ただ知られずに消えるというのは、あのとき彼がグンキノドンワにかせられた死と同じなのだから、この結末は私にはお似合いだろう。


 このままたゆられ、せめて分解された魂の塵もさいごまで彼を想っていられますように。






『フェイルか?』


 全てがうつろいそうになったとき、誰もいないはずの闇で声が聞こえた。


 金色に光る何かが遠くからこちらを見ている。

 ぼんやりとした灯火のようにみえるが、視線を感じた。

 そして、私にはその声に聞き覚えがあることを思い出す。



「......あ、あなたは......」


 血に宿る記憶、そしてその半魔の中でもただ一人が、彼らとの繋がりを得る。


「......久しぶり、お馬さん......」


『いや馬だけれども。 ......相変わらずだな、お前は』


 彼は、おそらく私の祖先である半魔から全て同一人物としてみている。

 以前、私はその人とは違うと人違いを訴えたが、私達には似たようなものだと言われ聞き入れてもらえなかった。


(......多分、人の外見でみわけがつかないんだ。 馬だし......)


「......お馬さんも、元気そうで良かった......」


 幼い頃は毎晩のように彼らが夢の中に現れては遊んでいた。けれど、それも14の誕生日を迎えた時から夢に現れることが無くなってしまう。


 ずっと心配していた。けれど、魔法を使うたびに彼らを側に感じられた。

 だから寂しくはなかった。


『しかし久しいな、半魔の小娘。 なぜお前がこの【ミトの大河】に流れている?』


「......どこ?」


『ああ、ここは生と死の狭間に流れる、命の流れだよ。 まさか死んだのか?』


「......うん、多分死んだ......」


『そうか。 まあ、輪廻転生しまた新たな形で生まれるだろう......そうすればあの頃のように再び遊べるさ』


「......うん、そうだね......」


『浮かない顔だな』


「......え」


『お前はわかりやすい』


 わかりやすい。パーティーメンバーはおろか家族にすら何を考えているのかわからないと言われていた私が?


『その顔には見覚えがあるぞ』


「......そうなの」


『夢から覚める時の顔だ。 おまえ、ひょっとして寂しいんじゃないか?』


「......さび、しい?」


『まだやり残した事があるのかもな。 遥か昔のお前も同じ表情だったことがある......あいつは素直に「まだ死ねない」と言っていたが』


 そんなこと。......死ぬことが償いになるのだと私は。



 寂しい?



 確かに寂しいのかもしれない。もし、レイがダンジョンから出てきたとき、誰も親しい人がいなかったら。


 だって、言っていた。


 あの優しい幽霊さんが、頼むって。




『......ふむ』


「......そっか、そうだ。 わたし......私も、まだ死ねなかった!」


『何か心当たりがあったか。 ......しかし、お前の体は無事なのか? 肉体が無ければ戻ることなどできんぞ』


「......でも、このまま消えるのは嫌だ......」


『ふはっ、我儘な所も変わらんな』


 クックック、と彼は笑った。


『しかしながら私が出来るのはお前の魂を現世まで引き戻す事だけだ。 そこからは、いくら霊獣の私とはいえどうにも出来んぞ』


「......がんばる......」


 たぶん、魂だけで動けているあの子に会えば、どうにかできるかもしれない。


『乗れ』


 そういうと光の塊が、ゆっくりと大きな馬の姿にかわった。額からは立派な一角が突き出ていて、かっこいい。


『では行くぞ。 振り落とされるなよ』


「......うん......!」


『......あ、それと』


「......?」


『お前、今度から我々の真名を呼べ。 その目的には強さも必要だろう? 私達の力を使え』


「......いいの」


『他の奴らにも伝えておく。 お前は今から正真正銘の【大魔道士】だ。 ......忌まわしき聖女によって魔法を引き出す道具と化された我々は、封印地から動く事はできぬが......それでも人間界の魔術師には引けをとらんだろうよ』


「......わかった。 ありがとう......【キリン】」


『ま、肉体がなければ呼ぶことも出来はしないがな』





 ......確かに。なんとかしなければ。









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