42.とける
「――ふう、疲れたのう」
「そうですね。 けれど、たくさんの情報を引き出せました」
「ああ、やはり魔族は王族、そして王本人とも繋がっていた。 この国はもう既に奴らにより支配されていたのか......」
国王をはじめ、上層部は全て魔族側についた人間、もしくは魔族そのものであることがアーゴンの口から語られた。
しかも、それはこの国だけにとどまらず、隣国『ヴァニル』にもおよんでいるという驚愕の新たな事実と共に。
「しかし、ノルンさんのおかけでスムーズに尋問を終えられました。 ありがとうございます」
「しかもあの種のブラフはなかなかのものだった。 ノルンは相当に頭のきれるお方だな」
「はっはっは! めっちゃ褒められてうれしー!」
大喜びするノルン。
「しかし、アーゴンは最後の一つだけ答えなかったのう。 自分の命が消えるかもしれないという状況じゃったのに」
「ええ、国王やその幹部の繋がりはすんなりと認めたのに......誰の差金で動いていたのだけは答えませんでしたね」
「だな。 いったいなにが奴の後ろにいるのか......計り知れないな」
◇◆◇◆◇◆
フェイルの肉体がゆっくりと生成される最中、レイはノルンの言葉を思い出していた。
一度は裏切られた相手、だがしかし後悔し歩み寄ってきた人間。
魂の記憶を読み込むがゆえ、彼女の心の動きと秘めた想いがレイの心を巡っていく。
フェイルが死んだ日、レイと新入りの白魔道士を重ね守り抜いた彼女。
そんなものに何の意味がある?それは僕では無いし、守り抜けてもいない。ただただ命を危険にさらす愚行でしかない。
(まったく......馬鹿げている)
しかし、レイにはこの時点でもう彼女を責める想いは無くなっていた。
「フェイルは」
「......なに」
「なぜ僕を気に掛ける? 命をかけてまで追いかけるなんて、馬鹿げてる」
「......そう、だね。 確かに、バカみたい......」
「もうやめろ......僕と共に戦わなくても良いから。 どこかの小さな町か村で静かに生きていけば良いんじゃないか。 冒険者なんていつ命を落とすかもわからない仕事ももう辞めたほうがいい」
「......それは無理」
「どうして」
「私は半魔だから。 半魔は貴族でなければ討伐対象......私はもうその後ろ盾がない......冒険者はもちろんもうできないし、一人でいればいずれ聖騎士によって狩られる」
「......そういう事なら、家に帰って事情を説明すれば大丈夫だろ」
フェイルの記憶を見たレイは、彼女が家族等に受けてきた仕打ちを知っていた。知っていたにも関わらず、それを聞いてしまったのは、自分の中に渦巻いている感情の処理が出来ずに八つ当たりをする子供のそれだった。
「......ううん......私、家に居場所ないから......」
(ノルンの言うとおりだ......僕は心の弱さは、子供と変わらない)
「......そう」
返ってくる答えと悲しげな笑みに、レイの胸は締め付けられた。
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