4.揺らぎ
「レイ」
宿に戻り荷物を回収。部屋を出ようとした時、リアナが口を開いた。
「どうしたの?」
「私、大丈夫です......だから、気にしないで」
突然どうしたんだ?
「大丈夫って、そんな訳......」
どう見たって......外傷はそれほど大きなものは無いけど、精神的には相当堪えているはずだ。
あれだけの悲惨な戦いで、あれだけの凄惨な死を目の当たりにして大丈夫なハズがない。
「いえ、大丈夫です......なので、レイの思うようにしてください」
ふらふらで今にも崩れ落ちそうな少女。しかし、その瞳には強い意志が感じ取れる。
この目は以前にも......あ。
そうか、あの日......何も出来なかったと悔し涙を見せた。
今、彼女が感じているのはもしかして、無力感なのか?
自分が僕の負担になり、足を引っ張っている......そう感じているのかな。
......リアナならそう考えそうだ。
「僕は......いや、僕もそろそろ休みたいんだ。 少しゆっくりと心の整理がしたい......だから、一度教会に行こうと思っている。 ......駄目かな?」
リアナはじっとレイを見つめている。それは何かを探るような、所作を確かめるような。
彼女はいつもレイが行っている、嘘のクセを探っていた。
――僕が教えた......人の嘘の見抜き方。
しっかりと着実に、しかし恐ろしい程のスピードで成長している彼女の姿に、そんな場合ではないのに思わず笑みが溢れてしまう。
「な、なんで......笑ったの?」
「あ、ごめん。 ちょっと嬉しくて......こっちの話だ、気にしないで」
先程までの真剣な表情は解け、キョトンと目を丸くするしているリアナ。
優しく頭を撫でてやる。
「大丈夫、君は君が思っているより強い」
負担だなんて、そんな訳無い。事実、僕は彼女に助けられてばかりだ。
リアナはそれを否定するかもしれないけど、僕がそう感じているんだ......だから、それはひとつの事実として確かなモノ。
でも、口にしなければ伝わらないのもまた事実、か......だったら。
「......リアナ、少し頼らせてくれないか」
「?」
「僕と教会へ一緒に来てほしい。 この誘いがもしも罠であった場合、また大変な脱走劇になるけど大丈夫かな?」
リアナはしっかりと頷き、真っ直ぐに僕の目を見つめた。
「はい......私、頑張ります!」
「うん、よろしく」
っていうか、Sランク冒険者パーティーのスグレンストを倒しているんだ、弱い訳がないよな。
......。
――まだ12歳という若い少女。彼女のもつ歴戦の冒険者を倒してしまう程の潜在的なバトルセンスに、レイは静かに戦慄していた。
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