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36.そこから

 


「......でも、そうか、彼女は......結局、ユグドラシルで命を落とし魂に......」


 レイは、視線を落とす。


「いんや、それは違う。 なんかねえ、ダンジョン攻略で失敗しちゃったんだって。 そんで魂命石に魂が集積されてユグドラシルを流れてきたのじゃ......で、それをわしが拾い上げてマナで体を形作った。 わしと同じ霊体じゃ」


 レイがふと思い出す。タラゼド隊長がしていたロキ達元僕のパーティーの話を。


「そっか......」


「れ、レイ?」


 気がつけばリアナが心配そうな表情でこちらをみていた。


「ごめん、大丈夫......ちょっと驚いただけだ」


 ノルンが言う。


「まあ、許すとかどうとかはお前次第じゃが......この話


 嘘かどうかお前なら見極められるだろう。 とにかく話してみろ」


「......うん、そうだね。 わかった」



 部屋へ入り直すと、水浴びの音が聞こえ来る。彼女はまだ浴室のようだ。


「あ、そうだ、ノルンちょっと」


「ん?」


 ノルンはしたことに責任を感じているようで、少ししゅんとしていた。


 レイはノルンへ耳打ちする。



「フェイルが、その......僕が家に入ったとき、お風呂へ入るとかで何も着てなかったんだ」


 ぶふっ、マジか!と吹き出すノルン。


「だからもし着替えを持っていってなかったらまずい。 ノルン一応持っていってくれないか?」


「ああ、うん。 おっけ、おっけー!」


 ハタハタと着替えを取りに走り出すノルン。



「さて、リアナ、アトラ」


「うん」「ああ」


「これから暫くここで暮らしてもらおうと思っている。 情報を引き出した後のアーゴンの見張りをしてほしい。 頼めるかな」


 口元を触るレイ。


「わかった」「任せろ」


 二人は理解していた。自分らにはレイと行動を共にする程の力が無い事。それ故に安全なここまで連れてきたと言うことも。



 アトラはここへいたるまでの道中、レイの戦闘を目の当たりにした事で。



 リアナはアトラと同じく、自身の実力の無さと、レイの嘘。


 ここまでの付き合いで、レイの癖をリアナは知っていた。


 ――彼が嘘や何かを誤魔化すときは、口元や顎に手を触れる。


 見張りは本当だが、どちらかといえば危険だから連れて行きたくないが本音。そう理解していた。



(私は、まだレイの側にいるには力が足りない......)



 悔しい思いを噛み殺し、必ず強くなって見せる。そう心の中で誓いそれを表に出さないリアナは、確かに成長し精神面でも強くなり始めていた。



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