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34.再び

 


 レイに頭をダガーで貫かれ、押さえつけられているアースガルズだった。



『お、おまえ......そうか、肉体はもう......ダガーに、全体の99%のマナを乗せ......投げていたのか』


 ダミーとして残りの1%のマナで形成した肉体を残し、アースガルズはそれが本体だと錯覚。


 一方、レイはダガーから本体を瞬時に形成し、アースガルズの首元へ組み付き、脳天をダガーで突き刺した。



『く、クククッ......やはり、お前が......王の器だっ、た』



 地面を揺らし、アースガルズの巨体が地に伏した。



「そうか、やはり......レイ、お前」


「ノルンさん......?」



 最終層であるアースガルズを倒したというのに、悲しそうな眼差しをしているノルンにリアナは首を傾げる。


「ん、なんでもない。 行こうか」


「はい」


「......あ、ああ」



 高次元の戦いを目のあたりにし、動揺するアトラ。



(レイの力に......俺は、本当にあいつの助けになれるのだろうか。 俺とあいつとの間には天地の差がある......どうすれば)


 主エリアの奥に巨大な扉があり、そこを潜り降りると最下層。


 広範囲の平原が広がり、遠くには山々と森林群、海が見える。


 勿論これらはユグドラシルの中を流れるマナにより形成されるモノで地上にある自然とはまた別のものだ。



「......うわぁ、すごい」


「これは、本当にダンジョンなのか? 外界に転移されてるんじゃ?」


 アトラの疑問にノルンが答える。


「いいや、ここは正真正銘のユグドラシル最下層じゃ。 だから気をつけろよ......レートS+〜SS+、稀にSSSレート以上の魔物がうろついてるからな」


「ここで暮らしてたとき、僕もなんども死にかけたもんね、ははは」


「ああ、お前、気がついたら半身くいちぎられてたの。 あれは焦った! はっはっは」


 レイとノルンがそれを思い出し笑っている。


「「......(えええっ)」」



 ◇◆◇◆◇◆




「――あ、あった」



 レイたちの進む先、見えてきたのはかつてレイがノルンと共に暮らしていた家。


 家といっても、大樹の根を掘りおこし雨風しのげるようにした洞穴である。


 中にはノルンが何処からか拾ってきた椅子やベッド等の家具もある。


「あ、そーそー! レイ、お前さ、先に入れ!」


「「「?」」」


 三人の頭上に疑問符が浮かぶ。


「お前の大切な人が中で待っておるぞ。 ふふ」


 目の端に涙をため、にこりと微笑むノルン。しかし、レイの頭上には「?」が「!?」に加わるだけであった。


「......大切な、人?」


「え、レイ......だれ? 大切な人、だれ?」


 リアナがレイの服を指でつまみ引っ張る。


「いや、え? だれ? わからない」


「はずかしがんなよなー、も〜!」


 ほれほれ、と手をひらひらさせ「いけいけ」とノルンに急かされる。


「......わ、わかった」


(本当に誰なんだ? 最下層に来られる知り合いなんていないけど......だれ?)


 根にたてつけられた簡易の木製扉を開く。あ、ノックした方が良かったか?と癖で開けてしまった後に気がつく。



 その時――




「――......ノルン、帰ったの?」




 と、中から聞き覚えのある可愛らしい声がした。


「――え?」


 目の前に現れたその人は、かつてのパーティメンバーであり、裏切り者であり、仲間であった一人の魔術師。


 目を丸くするレイ。彼女がここにいる、それ自体もとてつもない衝撃であることは間違いない。


 しかし、それだけではなかった



「......あ、れ、レイ......!? なんで......いや、あの......その。 ちょっと、お風呂に......入ろうと」


「いやっ、ごめ、ノックもしないで! 入って! ごめん!!」


 フェイルは素っ裸であったのだ。





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