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3.二人

 


 ――宿へと戻る道。


「!!」


 白いローブを着込んだ者が二人、道中に現れる。


「お待ち下さい」


「......そのローブ、神命教徒の」


『神命教会』大聖女を主体とした神に使える事に従事した組織。大聖女含めその教徒達は全て神力を使え、国王軍とほぼ同等の戦力を持つと言われている。


「はい、大聖女の命で参りました」


「貴方様がお困りであれば、白魔道士ギルド、もしくは神命教会本部へお連れし匿えと」


 !?


 どういう事だ、何故......。


「驚かれるのも無理はありません、しかし大聖女は全てを見通す力があります。 神による全知、それにより貴方様の危機を予見したのです」


「そして、貴方様には行く宛もない。 であれば一時的にでも我々の元へ来られた方が賢明でしょう......例えそれが罠だとしても、今の貴方様の力であればどうとでもなりますしね」


 この口振り、アーゴン邸での戦闘を観ていたのか?あの場に神命教徒の人間が?

 いや、しかし......確かに王都を抜け出ても、行く宛は無い。


 それに王都内にある教会の方がタラゼドととも連絡が取りやすいか。

 神命教徒なら国もそう容易く介入できない......隠れるならベストではある。



 ......。



「わかった。 とりあえず宿に置いてある荷物があるんだ......それを回収してから向かう」


「ええ、わかりました。 大聖女もお喜びになります、お待ちしておりますね」


「レイ様は教会本部への入り方をご存知ですか?」


 教会には何度か訪れた事がある。あまり良い思い出はないが。


「うん、『花』を探せば良いんだよね。 ただ鍵は持っていないから......」


「はい、ではコレを」


 ローブのしたから差し出された手には、小さな光の欠片が手のひらに乗せられている。

 それは持っていれば教会の神門を抜けられる『鍵』だった。


「......簡単に渡して良いものじゃないだろ、これ」


「大聖女がお渡ししなさいと」


「ではお待ちしております。 失礼します」


 そう言い残すと二人は走り去った。


 ......また、大聖女に会う日が来るとは。

 けど、助かった。僕は良いとして、リアナをこのまま連れ逃げ回るのは負担が大きすぎる。


「......宿」


 レイは再び走り出す。


 ――しかし、アーゴンをさらったのを知っているんだろ。つまりは罪人である僕を匿うと言うことであり、教会側はかなりのリスクを負う。


 ......何が目的だ?


 いや、そんなの決まりきっている。



 この『創造魔法』......覚醒した神の力が欲しいのか。



「でも、もしかしたら......神命教会を味方に出来るかもしれない。 それが出来ればやりやすくなるが」






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