27.あした (ロキ 視点) ★
――目が覚めると俺は小さな鉄製の檻に入れられていた。
小さいといっても、人ひとり入れるものでケージ周りにはいたるところに札が張り巡らされていた。
おそらくこの影響なのだろう、魔力が練れない。
眼前には、拘束具を装着されたスグレンストが診察台へ乗せられていた。
その周りに四人の人間がいて何かを相談しているようだった。
「――ふむ! これは素晴らしい! 常人離れした筋繊維の量と全身に巡る魔力管がおおい! これは素晴らしい素体だ」
「確かにな、こんなのは奴隷を漁っていては見つからない」
「ではこいつは何との?」
「これ程の力と魔力があるのなら、魔術師戦士にしてみては?」
「いや、こいつは精霊とは契約していない......つまり魔法は使えない」
「なんと、それは惜しい!」
四人は興奮しているみたいで、俺が目を覚ましていることに気がついていないようだった。
しかし、なぜこんなめに合っているのかはわからないが、俺がヴィドラドールの者だとしれば、改めるだろう。
「あの、皆様......はじめまして、私はヴィドラドール」
と、名乗ろうとした瞬間、ケージの上からガシャン!という衝撃が落ちた。
みれば誰かが上に座ったようで、面倒くさそうに話し始めた。
「おまえがよ〜、ヴィドラドールだかなんだかなんて別に良いんよ〜。 黙ってみてろよぉ」
なんなんだコイツは!?声色からして......女か?
しかし、この寒気は......嫌な予感がする。
「おまえのお友達、今からよぉ、歌を歌うからちゃんと聞いとけよ〜」
う、歌?いや、スグレンストの意識は無いように見えるが。と、言うかこれはヤバいだろ......こいつらの雰囲気、普通じゃない。
どうにか隙をみて逃げ出さなければ......スグレンストは別にどうなろうと構わないが、俺は死ねない。死にたくない。
「ぎっ、」
?
――獣のうめき声かと思った。
「ぎゃああああがががあああーーーっ!! ああああ!!!」
スグレンストの叫び声......というより、どちらかといえばこれはもう、断末魔だ。
スグレンストを囲む四人からは笑い声が漏れ出ている。
「あ、な、なんだ......何を、して」
「あーあ、お前ぇ知らないで来たのかぁ?」
「え、え? いや、そうだ......そう、俺はここで秘密裏に再生医療をおこなっていると......だから、この失くなった俺の腕と脚をつくってほしくてっ」
「再生医療? あーあ、そうかぁ......くく」
「......? な、なんで笑う」
「いいぜぇ、お前にそれ、やってやるよぉ。 まあ、元よりお前にはそれをやるつもりだったからなぁ」
や、やはりヴィドラドールの名は!よし、これで俺は......また冒険者として返り咲き、俺をこけにしてきたあいつらを見返す事がッ!
で、でもスグレンストのような苦痛を味わうことになるのか?
それは......ちょっと、嫌だな。麻酔とかで何とかならないのだろうか。
そこらへんからの記憶が、無い。
いつの間にか寝てしまったようで、気がつけばスグレンストが乗せられていた台へと移され、体を固定されていた。
そしてそれが始まる。
「......ッ」
「あ......ああっ、い」
眼球にトロトロに熱した銀を流し込まれたようだった。
目を閉じているのに視界は闇でなく、真っ赤に点滅していた。
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!?!? 何故だ何故! 腕と脚を再生してくれるんじゃ!? なぜ目に、があっ、あっ、ああああ)
「......ふむ、なるほど。 オーラが拒絶の性質を持つゆえに魔族核の侵食が非常にゆっくりだな」
「うむ、これはかなりの時間を要するな......数週間、いや下手をすれば数ヶ月か? 体力が保たないのでは?」
「いや、それならば再生蝶を早めに統合させよう......頼む『結合魔法』を」
「あーあ、わかったぁ。 わりぃなあ、ヴィドラドールの坊っちゃん......この能力、かなりの苦しみと痛みを伴うんだよぉ、気が狂っちまうかもしれねーが、まあ、お前がお望みの腕と脚は生えてくるからよ、我慢しなぁ! くひひっ」
いたみ、で意識が、いや
しっしん
すらできな、あいつ
いまなんて、言った
おれは、とろとろとろけ......あは、
――ズギギギャガッグシャァッッ!!
体がすり潰されたような、おぞましい痛みが走った。
「――あっ、あーーー!!! ......魚ああああ!! 伊比井具ぎゃああああ?! あ亜あ嗚呼ああ!!! あばらばらあばばは!? ??」
「いっひひぃ、いーい声で歌うなぁ!? ヴィドラドール!!!」
いたい、しぬ、ころして、ころし、ころ......
あひっ、
うひっ、
ひ
ひゃあ
――いつも、俺ばかり
ぐぶぁっ、あ
――なんで
ぎうがあああっ、あ
――許さない、ころ
うぶう、あっ......
はっ、
ははっ
あひゃあ!
ひゃはっ、はは、
ひゃははははっ、あはっ!!
「こいつ......笑ってる、のか?」
グシャアッ!!
みゃなわぎゅうねね、ぎきっ
なああぁがが、がっ、びあ
ごえあああーたかたかたかたかた、ななな
ろぶあっ、あっ、あっ、な
しべるのあさ
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