2.追われる者
カノンは焦る。
「......レイさん、約束は。 僕との約束、覚えてますよね?」
レイは自分の口元に触れ、言葉を返す。
「ネネモアは、死んでた。 そんな義理はないな」
「な、そ、そんな......」
事態の飲み込めないタラゼド達が頭に「?」を浮かべる中、扉が開かれた。
「こ、これは......きゃああーーー!!!」
「何だこれは」
「アーゴン様!?」
異変に気が付き入ってきた使用人達が騒ぎ立てる。
「あれは、聖騎士様!?」
彼らがタラゼドの存在に気がつくと同時に、レイはタラゼドと目で合図を交わす。
瞬時にリアナへ『創造魔法』で作ったローブを被せる。
「......アーゴン公爵は僕が貰っていく。 じゃあね、聖騎士の皆サン」
『セフィロト』の枝がアーゴンへと巻き付き、そのまま地中へと引きずり込む。
「な、なんだ、これは......ぐお」
暴れられても面倒なので、少々手荒だが世界樹を通じて身柄を拘束する。
その現場をみた人々の騒ぎの声がより一層大きくなる、そして逃すまいとレイを取り押さえようと迫りくる者が走ってきた。
「――行こう」
リアナの手を引き、正面出入口が使用人達で塞がれているので、横の壁を突き破り外へ向かう。
その際に、『セフィロト』でネネモアの亡骸を回収した。
――これからはずっと一緒だ、ネネモア。
胸を抑える。微かなぬくもりを、確かに感じた。
外へと飛び出したレイとリアナは、先ずは敷地から出ることを目指す。
しかし、リアナの体力は限界を迎えていた事もあり、走るというよりは、スピード的には歩くのと変わらない。
「大丈夫? ごめん、こんな事になって......」
「だい、じょぶ......はあはあ」
今にも倒れそうなリアナ。
「ごめん、ちょっと僕に身を預けて」
「え、あ......きゃっ」
彼女の小さな体を抱き寄せ、両手で抱き上げる。
「王都から出るまで、辛抱して欲しい......揺れるからしがみついてて」
「......わ、わかりましたっ」
リアナは顔があかい。体力が限界を迎えて熱が出てきたのか?早くしないと。
人を超え、魔族を超えたレイの体はあらゆる生物の中でもトップクラスの身体能力を有する。
リアナの負担を考えセーブした走力でも、またたく間に敷地を囲う塀へと辿り着いた。
「......結界、か」
左脚へとオーラを集中。
イカヅチのなびくような紅いエネルギーが宿る。
「――脆いな」
――一閃。横薙ぎに放ったレイの蹴りは紙切れでも蹴り破るかのように容易く吹き飛ばした。
これで結界師に感知されたな......さっさとここを離れよう。
さて、王都を出る前に宿へ寄るか。今ならまだ預けている荷物を回収できる......金は必要だ。
レイとリアナが闇へ消えるかのように王都へとかけていく。
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