15.黒い霧
しかし、僅かな違和感。
――いやいや、無敵な訳ねえよ......こいつは確かに、さっきレイに結界を破壊され殴り飛ばされていた。攻撃は間違いなく本体には通る。
そもそも、俺が覆われていた結界だって壊せたんだ。オーラが拒絶の力を有しているのは事実......だが、攻撃が通る場合もある。
「......考えた所で無駄だ」
間合いへと侵入するアリオト。その両手にはオーラが収束されている。
「死ね」
「!!」
刀で攻撃を防ごうとするが、拒絶の力は大きく弾かれる。追撃を避けるため後方へ飛び退くが。
――なに!?
いつの間にか後ろに結界が壁のように張られいた、逃げられない。
「終わりだ」
――......ッ!ははっ!面白え!
その時、イオリの持つ黒刀の刀身が霧の様に霧散した。
「!?」
辺りに広まる煙の様な黒霧。それはイオリの姿が視認出来なくなるほどの濃度。
(――煙幕か!?)
アリオトはその瞬間、逃げられると予測、イオリが逃げられないようにフロア全体へ結界を張り巡らせた。
(――貴様は逃さん!!)
「――射抜け、千牙黒狼」
と、イオリの声が聞こえた時。
霧から突如、無数の黒い刀身が出現しアリオトへと襲いかかった。
四方八方から突き出てくる、漆黒の刃。
――ズガガガガッ!!!
「ぐっ、お!!?」
かわすことも叶わず、左腕と右足を刃が貫く。
――オーラを纏っているにも関わらず、俺の刀で貫けた......!
アリオトの四肢を貫いていた黒い刃がサラサラと霧へ還る。
「どーやらお前の防御には偏りがあるみてえだな? でけえ結界を発動させた時、明らかにオーラの保有量が減少した......その状態なら、いくら『拒絶の性質があるオーラ』でも、俺の攻撃が通るのな?」
辺りに舞う黒い霧はゆっくりとイオリの持つ刀へ収束され、消えた漆黒の刀身を形作る。
「......フン、私がどれだけの年月この監獄を守ってきたと思っている。 それがわかったからどうした......もう油断はせん、依然貴様に勝ち目は無いぞ!」
アリオトは考える。
――ヤツの刀、あれはおそらく魔法の類では無く砂鉄......か。
磁力......雷系統の魔法。ヤツの能力か、もしくは『魔剣』である可能性......ヤツの能力であれば、防御力で勝る私は的確に結界を張りつつ、オーラコントロールによるガードで魔力切れを狙えば良い。
魔力により操作された砂鉄をあれ程自在に操れるのは相当な実力者......だが、その分魔力消費が恐ろしく激しいからな。
しかし、問題は魔剣である場合だ。
魔剣は人の魂や魔力回路が武器へと定着した、もしくは魂と魔力回路を元とした呪われし武器。その武器自体に魔力回路があり、大抵の場合......魔剣は、ほとんど無尽蔵の魔力を保有している。
その場合、魔力切れを狙うのは現実的ではない。いや、そもそも時間をかけている暇も無い。
ならば......アレを狙うか。リスクはあるがイオリは......こいつはここで殺しておかなければ、必ず厄介な事になる。
「――結路・封爆」
「......!!」
イオリがアリオトのオーラの流れが変化したことにきがついた。
(アリオトのオーラの色が変わった......!)
『結路・封爆』
結界術のひとつ。その結界内に閉じ込めた者や武器等の魔力を強制的に無効化する。しかし、一度発動すれば、成功失敗に関わらず保有している魔力の3分の1を消費してしまう。
この結界で閉じ込める事が出来れば、対象はオーラによる防御をする事が出来無い。
そうなれば、あとはそのまま結界を閉じれば簡単に圧殺してしまえる。
結界師一族に伝わる三ある内のひとつ、必殺の奥義である。
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