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11.破れ

 


 アリオトのお叱りを受け、イオリが返事をする。


「あー、スミマセンねえ」


 適当に返事をしたイオリをアリオトはじろりと睨む。

 しかし、イオリは視線を合わそうとしない。


 次に彼はレイへと視線を向けた。


「貴様は、息子の......なぜ生きている」


 ――相変わらずの冷たい瞳の色。


「僕が生きていると、何か不都合が?」


 フン、と鼻を鳴らすアリオト。


「......ダンジョンで死んだとロキからは聞いたんだがな」


「残念ながら、この通り......生きてますよ」


 ――この人は奴隷である僕の事を疎ましく思っていた。息子のパーティーに下賤な奴隷がいることが許せなかったのか、僕には他のメンバーと違い横柄な態度で接される事が多かった。


「クククッ、ははっ!! 残念ながら、か! ......いーや、そーでもないさ」


 アリオトのオーラが迸る。


「ここは私の監獄......侵入者の処遇は私に一任されているのだ。 この意味がわかるか?」


 殺気が視線を交わし、レイへと伝わる。


「わからないな」


「フッ、我が息子の汚点である、お前を......今、此処で確実に始末できると言ったんだよ。 やはり奴隷、頭も悪いか。 理解力がまるで足らん」


 ――本当に僕の事が嫌いだったんだな......すごい言われようだ。と、いうか「確実に」?......もしかして僕をダンジョンへ置き去りにする案はロキのものではなく、この人の差金だったりするのか?


 ......ひっかかるな。


「僕が奴隷だったから、殺そうとしたのか?」


 ストレートに聞いてみる。


「ふっ、くあっはっは! 「はいそうです」と答えるバカが何処にいるかね。 しかし......まあ、死にゆくお前には知る権利は有るかもしれんな」


 ――確実にここで僕を殺せると思っているんだろう。


 ゆらりと左手をこちらへ向けた。


「いつまでも汚らしい奴隷なんぞと息子を共にさせてはいたくないだろう? だから助言したのだ......あれを捨てる事が、あのゴミと、まともなヒーラーと交換する方法があるとな!」


 アリオトの手の動きに応じ、結界が出現する。


 ――ガキィンッッ!!


 幾度も結界でレイを閉じ込めようと、球状の結界が出現し捕らえられそうになるが、レイは持ち前の神速でそれを次々とかわしていく。


「――!! ちっ、無駄に素早いッ!!」


 結界を躱しながら、レイが問いかける。


「そんな面倒な事をする前に、最初から貴方が僕ではなく他の優秀なヒーラーをあてがえば良かったのでは?」


 レイの動きにアリオトは驚く。


(この奴隷、意外と素早い!!私の結界をこうもかわすとは!!......しかし、所詮は奴隷は奴隷!!)


 アリオトは腰から短剣を抜き、接近戦へと移行。レイも応じるように白のダガーを抜く。


 ガキィーンッッ!!


 二人の間に火花が散り、独房の扉を照らす。


「フン、やはり頭が悪いッ! ヒーラーの人口は少ないのだ......それこそ駆け出しの冒険者パーティーになどにヒーラーをあてがおうものなら、他に回せと上層部にお叱りをうける! だから仕方無しにお前を一時的に使い、さっさと捨てろと指示したのだ!!」

 ※パーティーメンバーの加入、変更は規定人数に足りていないか、死亡し不足した場合に限る。


 ――ああ、似ているな。


「高ランクになれさえすれば、レベルの高いヒーラーを加入させられられるからな! 貴様はそれまでの使い捨てだったのだ!!」


 ――この人も僕を見ているようで、僕をみていない......アリオトが見ているのは、奴隷という人ではない何かだ。


 レイは鍔迫り合いを止め、一瞬でアリオトの短剣の刀身をダガーで突いた。オーラを込めたダガーの破壊力は凄まじく、粉々になる短剣。


「なん、くっ!? 貴様ッ!?」


 ロキ父親は危険を察知し、反射的に結界を展開する――が。


 ――ば、馬鹿な!!!


 ガシャアアアン――ッッ!!


 レイの拳は結界を破壊した。


 薄い氷を割るように、粉々となるアリオトの結界。


 そして、アリオトの腹部にレイの拳が深く突き刺さり、吹き飛ぶ。


「ぐぶ、ぐ!? ......がはッッ」





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