表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの悪役令嬢は、ハッピーエンドを模索する  作者: 神山 りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

 [後編]



 ケインの言った通り、東側赤いチューリップが咲いている方向から、ゲオルグらしき、黒髪で武骨な背の高いイケメンが見えた。



 …………遠っ!!



 ひどい……酷すぎる……想像以上に遠い。

 ここから50メートルはある。

 おまけに公園あるあるで、目の前の噴水が非常に邪魔だ。

 って事は、上手く魔力を操作しないと、この帽子は届かない。

 マジで鬼畜なクソゲームである。



 チッ!!

 文句を言ってる暇もない。

 え~~~と、風に乗せて行けゲオルグの所に!!



 フィオーレンは、帽子を空に放り上手く風の軌道に乗せた。



 よし!! さすが私!!



 自画自賛だが、このために必死に練習して来たのだ。

 余程の事でもない限り、失敗しない。



 よし!! 行ける!!



 ーーーパシッ。



 何か黒い影が横切った。

 そのせいで死角となり、ゲオルグが帽子を…………取らなかった。

 いや……取れなかった。



 「お姉~~~さま~~~!! 僕が帽子を取りましたよ~~!!」

 銀髪、碧眼の美少年、見た目は天使……中身は悪魔なヤツがやって来た。その悪魔が、高さ3メートルにあった、あの帽子をいとも簡単に取った。

 いや……取りやがった。

 「アホ~~~空気を読め!! マイク!! 」

 フィオーレンは叫んだ。一番厄介な小僧。マイクのフラグは真っ先に叩き潰したハズだったなのに何故にいる。

 「空気を読んだから、取れたんですよ~~~?」

 風魔法を使って、取ったに違いないが……その空気じゃない!!

 「あ~~~っ!!」

 アホマイクのせいで、ゲオルグ様がチラリと見て、スタスタ行ってしまった。こうなったら、もう終わりだ。ゲオルグルートに戻るのは至難の業である。ガッカリだよ泣けてくる。

 「……お姉さま。」

 キラキラしたマイクが、帽子を手に持ち目の前のにいた。



 なんなんだよ。お前は……。



 このゲーム、主人公で全部クリアすると、もれなく隠しキャラとして、悪役令嬢スタートが出来るのだ。それが私。

 ただし、主人公はゲーム補正もあり、すべての対象者が好感度50%スタートに対し、悪役令嬢はマイナススタートという鬼畜ゲームだった。

 おまけに、何故かこのキラキラ少年、マイクの好感度だけ70%スタートとかいう、ありえない偏り。だから、早めにフラグを叩き潰さないと、こうなる。

 「うっわ~~。マイコー出てきたし!! 姉ちゃん……マイコーのフラグ折らなかったのかよ。」

 藪からばさりと、出できたケインもげんなりしてるのか、いつもの軽さがあまりない。それほどマイクはよく出てくるキャラだった。

 「折ったし!!」

 確かに折った。っというか、人としてどうかと思うが、出会い頭でいちゃもんつけて、平手打ちを喰らわす、それで折れるのだ。

 なのに……折れていない。ナゼだ?

 「姉ちゃん……ちゃんと、折っとけよ。」

 「ポッキーじゃないんだから、んな簡単にポキポキ折れるか!!」

 破滅フラグは、そんな簡単には折れない。ウンザリである。

 「アハハッ!! 名言いただきました~~!!」

 と、弟ケインはゲラゲラ腹を抱えて笑う。他人事だから、楽しくて仕方がないのかもしれないがイラッとする。

 「お姉さま。結婚式はいつにします?」

 空気も何も読めないマイクは、ニコニコと笑う。

 「まだ、1回しか会ってないのに、結婚も何もないよね?」

 フィオーレンもげんなりである。

 そう、まだ1回目だ。今日で2回目。その1回で何がキミの中で起きているのかな? 出会い頭は平手打ちしたんだけど? しかも、プロポーズどころか何もかもすっ飛ばして結婚式ってナニかな? 好感度マックスになってたとしても非常識だよね。

 「1回会えば十分ですよ。愛しのお姉さま。」

 と可愛く小首を傾げて見せた。たぶん端からみたら可愛くてキュンとくるのかもしれないが、コイツの裏の顔を知っているのでキュンとはこない。むしろ、ゾゾゾッと鳥肌を通り越して、恐怖……狂気を感じた。

 「……アンタ、私が平手打ちしたの覚えてる?」

 訊かずにはいられなかった。あれで折れるのだ……普通は。

 「あの快感……忘れられません。」

 マイクは、以前打たれた左頬を擦り、恍惚としている。



 ヤバイやつだ。



 「姉ちゃん……なんか……コイツのフラグだけ、バク入ってんじゃん?」

 さすがのケインも、恐怖を感じているみたいだ。

 「…………やりなおそう……。」

 当然だ。こんなヤツとエンディングなんか迎えてたまるか。

 「……同感……親父のトコ行ってくる。」

 「メンタルもたないから、早くね?」

 「わかった!! 任しとけ!!」

 こういう時だけは、頼もしい弟ケインは颯爽とこの場から消えた。



 頼むから、早くリセットしてくれ~~~!!



 そこに残されたのは、青ざめているフィオーレンと、その腕に絡みついている天使マイクだけであった。



 「僕だけの、お姉さま……フフッ。」



 


ゲオルグ通りましたよ~~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ