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1 初めての婚約破棄 [前編]

電車内で話すカップルを見て、フと書きたくなった話です。

あくまでもノリで書いたので、暖かい目でよろしくお願いいたします。

こちらは短編小説になります。

4話で終わりとなります。



 「フィオーレン!! お前との婚約を破棄する!!」

 この国の皇子アレンが、言い放った。



 ちなみに今、この国ガリレイ帝国では、スライス国王陛下の生誕50年の御祝いパーティーの真っ最中である。そんな中、アレン皇子はフィオーレンを見つけ、言い放ったのだ。



 「……え? マジか!!」

 弟と談笑していたフィオーレンは、急な申し出に驚いていた。

 仲がいい……とは、けしていえないが、それなりに上手くいくようにしていただけに驚きだった。まぁ、後ろに控えている少女を見れば、何が起きているのか分かってしまうのだけど。

 「……アハハッ!! 姉ちゃんフラれてやんの!! マジパネェし!!」

 一つ離れた弟が、腹を抱えてゲラゲラ笑う。黙っていれば超イケメンなのに可哀想なヤツだった。ちなみに今の話し方で、察した方も多いとは思うが私達は"転生者"である。

 「……うっさいし!!」

 「だから、アレンルートやめとけっつたのに!! 姉ちゃん悪役令嬢なんだから、何したってゲーム補正でフラれるっつーの。」

 そう、この世界は乙女ゲーム"華の皇子と乙女"らしい。自分はあんまりやりこんでないので分からないが、前世でも弟だったコイツは、女の子にモテたくて裏の裏までやりこんでいた。

 「マジうっさいし!! どうせなら身近なイケメンを旦那にしたかったんだよ!!」

 たかかそれだけ、されどそれだけの理由だ。不細工よりイケメンの方がいいに決まってるし、貧乏人より金持ちだろう。金より愛が……なんて言ってるヤツは夢見すぎ。

 生活するには、それなりに金がいるんだよ。愛で生活できるか。

 男だって、不細工より美人がいいし、家事が出来ない女より出来る女がいいでしょ? 要はそういう事。女が働けない世界ならなおの事だ。

 「イケメンがいいなら、ゲオルグにしとけばよかったし。」

 「隣の国まで? 面倒くさい。それにゲオルグルート、敵が多かったでしょうが!!」

 周りの国とイマイチな関係の国に嫁げるかつーの。

 「姉ちゃんなら、全部、蹴散らせンじゃね?」

 「……お前、あとで王宮の裏にコイ。」

 「王宮の裏、広すぎぃ~~~!!」

 弟は両方の人差し指を立て、バカにする。



 「……おい!!」

 半ばほったらかし状態だった、アレン皇子が怒り気味で声を掛けた。

 「……なんっスか?」

 やる気のない返事の弟。第二とはいえ、この国の皇子に不敬である。

 「キサマじゃない!! フィオーレンだ!!」

 「婚約破棄なら無理じゃね?」

 弟が先手を取って言った。

 「…………なっ!!」

 先手を取られて言葉に詰まる。

 「さっき、ゲーム補正でフラれるンじゃね? って言ったけど、現実問題ムリっぽいっスよ?」

 呆れた様に笑う。何にも考えずに、婚約破棄しようとする皇子をバカにしているのだ。

 「……ゲ、ゲーム? はともかく、何故破棄出来ないのだ!! この俺が言っているのに!!」

 相手の令嬢、つまりフィオーレンならともかく、皇子の自分から何故破棄できないのかが、分からないのだ。

 「結婚は~~好き嫌いじゃなくて~~政治的なナンかが絡んでるからで~~皇子さんがいくら~~破棄するっつっても~~ムリだと思いま~~す。」

 姉のフィオーレンでも、イラっとする話し方である。

 「……お……お前……。」

 あまりの言い方に、怒りに震え口をパクパクさせているアレン皇子。

 「……姉ちゃんマジパネェ!! 皇子さん"コイ"みたいだし!! アハハ!!! チョ~ウケる!!」

 場の空気もなんのその、弟はまたゲラゲラ笑いこける。

 「……ミ……ミュスエル!!」

 怒りに震えたアレン皇子は、この二人の父親であるミュスエルを呼んだ。

 「……は。ミュスエル馳せ参じました。」

 渋目のイケメン、ミュスエルがゆったりとやって来た。馳せ参じた割にはゆったりである。

 「お前!! コイツらの教育はどうなっているんだ!?」

 「婚約者の浮気には、全身全霊をかけて、呪い殺す様に育てていますが……何か?」

 「………………。」

 この親あってこの子ありだった。アレン皇子は押し黙った。

 「ちなみに~~。婚約破棄すると~~もれなく~~皇子さんは~~終了~~なんスけど~~いいんスか~~?」

 弟が興味なさげに言った。マジでどうでもいいらしいのだろう。

 「ど……どういう事だ!?」

 「だって、うちの姉ちゃんと結婚するから、王になれる訳で~~姉ちゃんと結婚しないなら、親父の後ろ楯? がなくなるんだから、終了じゃね?」

 アハハとまた笑い出す弟。何がそんなにもおかしいのか。ちなみに私の父は、泣く子も黙る宰相様である。

 「………………。」

 「どうでもいいけど、そこにいるお嬢さんはアレンでいいの?」

 フィオーレンは静かに黙る、アレン皇子といる令嬢に声を掛けた。

 「……え?」

 突然の事でびっくりする少女。

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