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第一曲 待ち合わせ


 藤沢駅近くの某ファミレスで待ち合わせ。


 高校生だから居酒屋って訳にもいかないし。早く20歳になりたいなぁ……とか考えていたら、玲子が僕の顔を覗き込んで言った。


「ライブどうだった? 結構、ハマっちゃったんじゃないのぉ?」


「う~ん。まぁまぁかな。」


「翔がそう言う時って、かなり気に入ってるときだよね? 全く素直じゃないんだからぁ」


 玲子にニヤニヤと笑いながら言われた。同時に他の2人も、にやけながら激しくうなづく。


 まったく、こいつら。こういう所が気に入らない。しかも、図星だから余計にむかつく。

 僕はさり気なく話題を変えようとした。


「そんなことないよ。で、まだこないの?」


「セットの片付けが終わってからって言ってたから、もう少しで来ると思うけど……」


 理津美が、僕の心を察したのか笑いながら答えた。

 こいつらには、敵わないな。完璧に俺の心の中読まれてる。とか思いながらも、彼らはどんな人達なんだろう。やっぱり無口なのかなぁ。話合うかなぁ。とか、色々考えていた。


 あ、そうだ。今日のライブとファミレスは理津美から誘われた。ってことは、知り合いってことだよな。俺は理津美に聞いた。


「メンバー3人とも理っちゃんの知り合い?特進1組?」


「ん~ん。1組はギターの祥君だけ。ボーカルの拓人君とドラムの哲太君は2組だよ。」


「あ~そうなんだ? ギターの人と仲良いの?」


「そう言う訳じゃないんだけど、祥君から翔ちゃんのこと聞かれて、ライブやるけど皆で来ないか? って誘われたの」


 ……え?

 ギターが僕のことを知っていた?


 僕、ギターと接点あったっけ。昨日のライブが初めてだよな。あんなイケメン一度会ったら忘れる訳が無い。


「ギターの人が僕のこと? なんで?」


「さあ?理由までは聞かなかったわ」


 ギターとは話したことなんて無いし、そもそも何の面識もないし、何も思い当たらない。彼が僕の事を聞く……どうしてだ?


 理津美が僕の質問に答える間も無く、ファミレスの入口に向かって思いっきり手を振った。入口を見ると楽器を持った3人組がキョロキョロしている。


「お~いっ! こっちだよぉ!」


 3人組は、僕たちに気づいたようだ。


「おおー!!」


 彼らは手を振り返す。

 来たっ! 僕は、ちょっぴり緊張した。

 

「よっ! お疲れっ!」


 ブリドリのメンバーが、それぞれ挨拶する。結構人見知りな僕は、緊張しながら挨拶を返した。


「お疲れっす……」


 緊張する僕の様子を見て玲子が、にやつく。


「なぁに緊張してんのよ?! 柄でもない!」


「うるせーなぁ! 緊張なんかしてねぇよ!」


 むっとして答える。メンバーでギターを担当しているショウが笑顔で手を差し出した。


「君が、俺と同じ名前のしょう君? 噂は聞いてるよ。俺は高倉(たかくら) (しょう)、名前はカタカナのネに羊って書いて祥。よろしくな」


 祥はライブでの印象とは違い、とても気さくに話しかけてきた。やせ型で背が高い。185cmくらいかな。でもって端整な顔立ちをしている。


「よろしく。僕は安齋(あんざい) (かける)。名前の漢字は飛翔の翔。読みは”かける”って言うんだ。皆からは何故かショウって呼ばれてる。噂って?」


 何を言われているんだろう?そんな噂になるようなことしてたかな……至って普通の高校1年生だが。


「いやー♪ 学年のアイドル3人と、いつもツルんでるからさ。皆から羨ましがられてるよ。どんな人か一度話してみたかったのさ♪」


 他のメンバー2人も揃って頷く。


「つるんでるって。そんなことないと思うけど。周りからは、そうみえるんだ?」


 祥の隣にいるボーカルが割って入ってきた。


「見える見える。まじ羨ましい。あ。俺、大庭(おおば) 拓人(たくと)。タクトでいいよ。よろしくー。」


 黒髪に黒縁メガネ。背は俺よりも5cmくらい低いかな。170cmってところか。

 祥とは違うタイプのイケメンかな。人当たりが良いって感じ。


「よろしく。羨ましいって、口うるさいだけだよ。」


 僕が慌てて否定すると玲子にすかさず突っ込まれる。


「翔って、放っておくと何するかわかんないんだもん! 頼りないんだから!」


 彼らの前で頼りないとか言うなよ。頼りないと言う印象が彼らに根付いてしまうじゃないか。


「いや、放っておいていいから!」


 僕のムッとした様子にドラムが笑いながら話す。


「本当に仲良いんだな。俺達も仲間に入れてくれよ。俺はドラムを担当している渡内(わたうち) 哲太(てった)。テッタって呼んでくれ。よろしく」


 近くで見ると、更に大きく見える。短髪で筋肉質。2m近くはありそうだ。(いか)つい顔をしているが、話しているところは優しい感じがする。『頼れる兄貴』って感じかな。


「翔です。よろしく。仲間だなんて、大歓迎ですよ! こっちから頼みたいくらいだよ。」


 思わず本音が出てしまった。こんなに短時間で、心を許せるなんて滅多にない。


 不意に祥が、思い付きの様に言った。


「じゃあ、翔君。俺らとバンド一緒にやってみないか?」


「ええええええーっ????!!!!」


 祥以外の全員が大声で叫んだ。



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