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祥と翔~友達発親友経由xx行き~  作者: 桐生夏樹
第二幕 超人気バンド
4/66

第一曲 人気バンド登場


 玲子と直美が待ちに待った放課後。


 ライブ会場と言う名の『格技場』玲子に連れられるまま突き進む。

 先に入っていた直美と理津美が席で手招きしている。


「こっちこっちっ!」


 ちびトリオの完成だ。


「結構……人、入ってんだな…」


 周りを見ると見慣れない制服の学生が沢山いる。複数の高校から来てるんだな……

 あ、あの制服は中学だな。私服は大学生?社会人?スーツの人もいる。


 早くも格技場の中だけでは人が入りきらなくて外まで人が溢れかえっている。男女比率は8対2で女性の割合の方が多い感じかな。


「この高校入ってブリドリ知らないなんて……はぁ……」


 キョロキョロと周りを見回している僕を見て理津美が信じられないと呆れて呟いた。


 僕も周りの状況を見てブリドリの人気に圧倒されていたから理津美の呟きに反論できることもできず聞こえないフリをした。そんな理津美に同乗して玲子が冷やかす。


「しょうがないよ~そういうの翔ちゃん全然興味ないもんねぇ?」


「ふ~ん……本格的だなぁ。あれがドラムかぁ。」


 僕は玲子の声にも聞こえない振りをして、前の方にあるステージのセットに目をやった。


 正直、人気があると言っても高校の同級生がやるバンドなん期待はしていないし暇つぶし程度になれば良いくらいに思っている。1回付き合えばチビトリオも納得するだろう。


 ステージを見て感心している僕を見て、珍しく直美が早口で話す。


「うん。すごいんだよ! CDまであるのだ~♪ それも一瞬にしてなくなっちゃうのだよ。プロ顔負けだよ~♪」


「へぇ……」


 興奮気味の直美も僕は受け流した。

 いつも口調がゆっくりの直美が早口になっているのを見ると余程のことなのだとわかる。


 それよりも素人バンドでもCD作れるんだな。CDが出せるってことはプロの楽曲を真似て演奏しているコピーバンドでは無いと言うことか。CDに何曲収録されているのかわからないけれど、バンドで作ったオリジナル曲がないとCDを出すなんてことはしないだろうし出来ないだろう。


 ……と、急に周りが騒然となった。


「キャー!! ウォー!!」


 あまりの喚声に驚いた。早くも観客は総立ちになった。チビトリオもステージに向かって両手を振っている。


 いよいよ人気バンドの登場だ。彼らは、歓声に(こた)えるでもなく、黙々とセッティングを始めた。ボーカル、ギター、ドラムの3人組。全て男だ。ギターとドラムは背が高いな。特にドラムはガタイがいい。2mくらいあるんじゃないか?ドラムセットが小さく見える。


「愛想のない奴等だな!」


 歓声の中、隣にいる玲子の耳元に叫んだ。この完成だから隣の人に話しても途切れ途切れにしか聞こえないだろうが、玲子は僕の声を聞き取ったようだ。


「それだけ、集中してるんだよ!」


「そんなもんかねぇ。所詮は、お遊びの素人バンドだろ?」


「そんなこと言って~!! ライブ始まってから驚かないでよね?!」


 玲子が興奮気味に答える。

 ボーカル、ギターは、学ラン姿で、ボタンを3,4個外してる。

 ドラムは早くも上半身裸だ。筋肉隆々(きんにくりゅうりゅう)ってヤツだな。ドラムの運動量は半端ないだろうから日々鍛えてるってことか。


 そして---始まりは突然だった。


「ギュヮーン!! ドン!!」


 カウントも無く、いきなり演奏がはじまった。


 ドラムとギターが一気に鳴り響く。さらに観客は興奮状態。声にならない叫び。踊りまくる奴。拳を突き上げる奴。


 大勢の観客の中、僕一人、呆然と立ち尽くしていた。

 いや……『立ち尽くしていた』のは決して冷めて居たと言う意味ではなく、良い意味での期待の裏切りと言うことだ。とても同い年とは思えない。


 輝いていた………ステージだけが別世界だった………

 ボーカルが加わると、さらに世界は広がった。男にしては高音の甘い声で、しかし、この音達と溶け込んでいる。曲は聴いたことが無い。オリジナルらしい。ジャンルで言うならハードロックという奴か。


「なんなんだ? こいつ等………」


 僕は、信じられない世界、光景を目の当たりにして、戸惑いを隠せなかった。


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