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第二曲 大盛況


 一晩明けて、金曜日の朝、いつも通りに登校。

 教室に入ると既にチビトリオが揃っていた。玲子と直美はわかるが、1組の理津美まで当り前の様に居るんだよな。自分のクラスに友達居ないのかなと思うくらい。いつもマイペースの直美が僕に話しかけてくる。


「おはよー♪ しょーちゃん♪」


「おはよう」


「しょーちゃんどうするの? バンドやるー?」


「まだ悩み中。そんな簡単に決められないよ」


 気乗りがしない様子の僕を見て、ズカズカと玲子が割って入る。


「あのブリドリだよ! そんな有名バンドから誘われたら即決でしょ! やるしかないでしょ!!」


 玲子の大声でクラスの皆が一斉に僕を見た。その中の1人葛原(くずはら)(まこと)が駆け寄ってきた。


「翔!! お前、ブリドリ入んの?!」


 葛原の言葉を皮切りに、クラス全員が僕のことを一斉に取り囲んだ。


「翔くん! ブリドリ入るなんてすごい!」

「翔くんバンドやってたの?!!」

「祥のサイン貰ってきてよ!!」

 

 ……え?

 なんだなんだ?


「これが普通の反応よ?」


 理津美がニッコリと微笑んだ。


 そうか、これほどまでに、クラス全員が飛びつくぐらい人気があるとは思わなかった。こんなに大ごとになるんだったらチビトリオに口止めしておけばよかった。いや……口止めしても無理か。

 特に玲子は口が軽いからな。遅かれ早かれ皆にバレたに違いない。玲子も鼻にかかった声で僕をからかう。


「翔きゅ~ん♪ ブリドリ参入おめれと~」


 こいつ、完全に僕の事をバカにしてんな。 


「声が大きいんだよ! まだ誘われただけでバンド入るなんて言ってないだろ?!」


 玲子のことを批難しているのを見て葛原が驚いたように言う。


「えっ?! あのブリドリから誘われたのにOKしないの?! 信じられねー!! 俺なら即OKするよ」


 葛原の驚きに周りも信じられないと共感した。


「ブリドリ入らないの? うそでしょ?」

「信じられない!!」

「ブリドリメンバー可哀想!!」


 クラス中から一斉突っ込みを受けた。

 なんで皆ブリドリ側なんだよ? 僕の味方は居ないのか……? 

 でも、それだけブリドリって人気があるってことだよな。クラス中が僕を取り囲んでいる時点で、その人気を推し量れると言う感じだ。


 キンコンカンコーン♪

 ショートホームルーム開始のチャイムが鳴った。


「じゃあ、私のクラスに戻るね。翔ちゃん良~く考えといてね♪」


 手を振って理津美が教室を出て行った。

 思ったのだが、僕が悩んでいる間、こんな騒がしい日々が毎日続きそうな気がしてきた。僕は独りで居たいタイプで、決して皆と一緒に騒ぐタイプではない。この騒ぎを鎮めるためにも結論は早めに出したほうが良さそうだ。


 取り巻きがばらばらと解散した後、直美が僕の袖を引っ張った。


「ねぇねぇ翔ちゃん? ブリドリ入ったら私たちと遊ぶ時間少なくなるかな?」


「え? 言うほど遊んでないだろ? でも確かにバンド始めたら気合入れて練習しなきゃいけなくなるだろうから自由な時間は少なくなるかな」


「そっかぁ……そうだよね」


 直美は伏し目がちにうつむいた。


「どうした?」


「ん~ん。何でもない。あ! 先生来たよ!!」


 直美に胡麻化された感じもしたが、きっと大したことでは無いのだろう。


 急いでちゃんとした結論を出さなきゃ。バイト先にバンドやっている先輩がいる。ちょうど今日はバイトのシフトがかぶっているはずだから相談してみよう。



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