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狂い神  作者: 金築 一
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プロローグ

 いつもの道、いつもの町並み、毎朝会う隣人。そう俺の中で何かが違った。なにがちがうのかは説明出来ないだろう。見える色もはっきりしている。今、手を置いている机

の感触も変わらない、今朝飲んだコーヒーだって熱かった。それに登校中、園芸用のバラの荊棘で切った傷口もまだヒリヒリしている。

そういえばそのバラを植えている家の山田さんは、また市の職員らしき人に怒られていたな。どうして懲りないんだか。とにかく、何とも言えないが何かが違う。

「ねぇ、聞いてるー」

「あ、あぁ。なんだっけ」

「ってきいてないじゃーん」

 今、話しかけたのは木羽飛鳥、一応は幼馴染だ。天然で運動神経抜群、成績のことは言うまでもない。

「なんか今日おかしいよなお前」

 こっちは、赤埜翔平、こっちも飛鳥と一緒で幼馴染だ。ちなみに翔平の方は成績優秀、その上運動神経がよく(飛鳥には勝てていない)モテモテだが俺らと話すとき以外では

かなり無口で人見知りな所があり、未だ彼女なしというのがが俺への唯一の救いだ。

「ほーんと、何かあった?雪野せんせーに相談に乗ってもらえてもらえば」

「いや、考え事してただけだから大丈夫だ」

 雪野先生は俺たちが一年の時から面倒見てくれてる頼れる先生だ。今は担任じゃないけど何かと相談に乗ってもらってる。

「お前、生徒会長に推薦されたからって、いやなら断っても誰も怒りやしないんだから。あんま気負いしすぎるなよ」

 いや、違うんだ、そう言いかけて言葉を呑む。その話なら最初からそうするつもりだったのだが、逆にじゃぁどうしたと聞かれれば答える方法はないのだ。

「そ、そうだよな。ははは」



 下校後、俺はもう一度一日を振り返ってみた。今日、朝起きたときからあの違和感があった。

別に具合が悪いわけじゃなかったが、すこぶる良いわけでもない。その後。まずは台所にむかって何を食べるか考えたんだ。でも何か作って食べる気は起こらなかったので寝坊した時用に用意していた冷凍食品を解凍して食べた。賞味期限が切れていたが、元々そういうのを気にするたちじゃない。

そして、時間に余裕があったので最近ハマってるブルーマウンテンを淹れて飲んだ。そうして登校。俺が通っているのは狩喜野高等学校ちなみに住んでるのは見るからにボロいアパート。学校に入学するとき駅からも学校からも距離が離れすぎているからということでここを借りた。

何でも格安な上、管理人さんの態度が良かったため、両親が即決したらしい。まぁ、暮らす上で特に不満は無いから別にいいとしよう。そして話を戻すと、玄関を出て偶然同じタイミングで玄

関を出た。春野さんと挨拶をした。春野さんというのは、去年、入ってきた大学生で、どこにでもいるような優しそうな女の人。その人に軽く挨拶をして玄関からでてすぐ左

にある。階段を降りると、前から声がするので見上げると先ほど話に出てきた感じのいい管理人の山口さん歳は三十前後に見えるが既に四十過ぎているらしい。ちなみに男の

人だ。道に出ると、例のバラが植わっている山田さんのうちの前をとおった。山田さんはいかにもという感じで三十後半は、行っているはずだが、夢見る少女という感じで、

いつも奇抜な格好(年齢と比べて)をしていて。一週間に一回は市の職員と喧嘩している。恐らくバラが路にまで及び、近隣住民から苦情が来ているのだろう。俺の母も趣味で

バラなどを栽培しているのだが、この山田さんに対しては、「管理がなってない」などと言い、文句を言いに行きかけたほどだ。そのせいで俺も、今朝二の腕を切ってしまっ

た。そんな家からの道のりをこえ学校にたどり着く。学校では昼休みに飛鳥の愚痴や噂話をいつものようにきかされながらいつものように三人で飯を食っていた。後は下校し

て今に至るということだ。ちなみに晩飯はスーパーで買った惣菜とご飯を炊いて食べた。ここまで思い出してみても特にバラで腕を切った事と、あの違和感以外はいつもと変

わりない。この違和感はなんだろうか敢えて言葉にするなら何かフワフワ浮いている感じがする。

 このあと、あれこれ考えはしたものの、全く答えらしきものは見つからず、時計を見ると十一時を過ぎていたので今日のところは寝ることにした。



 おい、起きろ。その声に俺は起きた。そしてまた違和感を感じた今回のははっきりしている。まず、分かるのは、俺がひとり暮らしなのにも関わらず、すぐ近くに、何かし

ら人の言葉をしゃべるものが居るという事、そして次に分かったのは、ここが俺の部屋ではないということ。そして、ここがこの世ではないということ。なんとなくそういう

気がするのだ。

「…して‥る」

 それがなにかもぞもぞと伝えようとしている。視覚が段々とはっきりしてきてそれがなんなのかわかってきた。まず小さい。まだ体を起こしてないのではっきりと大きさを

例えられないが、恐らく俺の膝ぐらいしかない。そして見た目はやせ細った老人といったところか。顔はには白い髭をモジャモジャはやし、口が隠れている。そして、眉毛も

真っ白で目が隠れているほど長い。その上空中にフワフワ浮いている。いかにも。神様だ。というような身なりをしている。

 まず、こんなサイズの人間がいるのだろうかそしてこいつはなぜこのような格好をしているのか。そして、ここはいったいどこなのか。俺の頭の中にクエスチョンマークが

たくさん浮かんできた。

「・・・しておる」

 さっきよりははっきりと聞こえてきた。

「・壊してきておる」

 なんだろう、その声は、はっきりとは聞こえてないのだがどこか威厳を感じる。

「時空が崩壊してきておる」

 何を言っているのか意味がわからない。

「聞こえているじゃろが」

 そいつはそういって寝ている俺のわき腹を蹴る。

「いたた。いきなりなにすんだよ」

「そちがいつまでたっても起きんからじゃ」

「いや、その前にここはどこで、あんたが何者かについて説明がほしいんだけど」

「ふむう、お前人間にしては間が悪すぎるのう」

「間抜けっていいたいのか」

「そうじゃ。まぁわしらからしたら人間は皆間抜けばかりじゃがのう」

 まず、こいつの受け答えから少なくともこいつは自分が人間じゃないということを言いたいらしい。そのサイズ感と声から感じるただならぬ威厳から、不思議と説得力があ

った。そしてあいては複数いるらしい事もわかる。

「ふむう、お前さんは割と呑み込みが早いようじゃのう」

 俺の考えていることがわかるのか、状況を整理し終わってからそいつが答える。

「まず、ここはお前らでいうこの世ではない、あの世なのじゃ」

 いや、まて、可笑しい、この俺がしんだ。そんなはずはない。だって死ぬ理由がないじゃないか別にいつも通り布団に入ったし、その上高校に入学してから一度も病気や大

怪我はなかったはずだ。だとしたら何だ。あぁ、そうかあのバラだ。バラについては俺自身よく知らないが、あの傷口から細菌か何かが入ったのかもしれない。

「まぁまて、お前はまだ死んでおらん」

「ん、おい、今お前がここはあの世といったよな」

「これだから人間という者は愚かなのだ。早とちりをする。それのおかげでわしらの仕事も余計に増える。まぁいい。人は人、神は神。お互いがそれぞれになることは出来ん

いくら万能の神でもな」

「いや、言ってる内容が理解できないんだが」

 こいつは自分のことを神様といっているようだ。そんなの信じられるわけがない、先ほどこいつが神様のような身なりをしているといったがそれとこれとは話が別だ。

「まぁ、信じずとも、信じようともやってもらいたいことは一緒だ。人間界で悪さをしている’狂い神’どもを排除してほしい」

「まったく分からないが、いくつか質問させてほしい。まず、あんたが本当に神様だと、そしてここがあの世だと一億歩譲ってそうだとしても、なんで俺がこんなところにい

なきゃならないのか、さっき言っていた狂い神とは何なのか、それをどうして俺が排除しなきゃならないのか、まずそこについて理解させてほしい」

「わしも最初からそのつもりだったのじゃが・・・申し訳ない。時間が来てしまったようじゃ、そこからの説明については君のバディとなる人物に説明してもらおう」

 ちゃんと説明しろ。そう何度も叫ぼうとしたのだが。あいつの力か、口が開かなくなってしまった。どうせ口が利けない上にどちらにせよ相手は答える気がないのだからも

う考えるしかない。とはいえ意味不明すぎる。なんだ、狂い神って、なまえから推測するともともと神様だったものがイカレてしまった。普通に考えたらそうだろう、という

か神様なんか本当に存在するのか。最初から最後まで意味不明だ、でもたしかバディから説明があるといっていたな。それを待つしかないか・・・



 昨日、いや今朝か、あの出来事の後、ほとんどまもなく目が覚めた。何だか二回連続で目が覚めた感覚だ。目が覚めてから、時計をみた、ちょうど8時を指している。あわ

てかけたがよくよく考えると今日は日曜日だ。まだ胸の中がもやもやしている。そこへ。「ピンポーン」久々にこのメロディを聞いた。わざわざ直接尋ねてくる人などいない

からだ。すこし不信感をいだきながら玄関へ向かう、一応のぞき穴で確認してみる。そこには春野さんだ。わざわざあちらから用とは珍しい。ドアノブに手を掛けゆっくり回

してゆっくりとドアを開けた。

「あ、どうもこんにちわ」

「こんにちわ」

「あ、そんなに警戒しないで。ちょっと気になることがあって」

「どうかしたんですか」

「いや、昨日、変な夢を見てね、神様だって名乗るおじいさんに、あなたのバディになれって言われたの」

 俺は動揺した。確かに俺も似たような夢らしきものを見たのだ。

「あ、その表情。あなたも同じ夢を見たのね」

 俺はゆっくり頷く。

「ちょっと話をしたいんだけど、いいかな」

 勿論こちらも昨日の夢の正体を知りたかったところなので。断るはずがない。

「納得したみたいね。それじゃ私の部屋でもいいけど」

「いや、俺の部屋で大丈夫です」

 実を言うとこの俺、飛鳥以外の女子あまり喋らないため。ただでさえ表情がこわばってしまっているのだ。そんな状態で春野さんの部屋で話すとなると。きちんと受け答え

できる自信など微塵もない。

 一応客間兼寝室である和室に春野さんを通した。無論、通す前に、布団は片付けてから通したので、畳の上にちゃぶ台が一台あるだけだ。お茶を出すのでコーヒーと紅茶、

どちらがいいか、と聞くと、春野さんは「コーヒーで」と答えた。正直助かった。一応聞きはしたものの、紅茶は置いてなかったので、紅茶と答えられたらどうしよう。と

思っていたところだった。コーヒーを出すと。

「気が利くんだね」

 と、言われ、にやけかけてしまったが。何とかぎこちない笑みで誤魔化す。

「部屋も綺麗なんだね」

「い、いえ、ただ何もないだけです」

 なんとか答えたもののその声は何とも情けないものだった。

「女の子と話すの苦手なの」

「は、はは、図星ですね」

「意外だね、いつも笑顔で挨拶してくれるから」

 それとこれとは話が別である。

「あ、あの、本題に入りたいんですが」

「あ、そうね。まず聞きたいんだけど、君が見た夢はどんなだった」

 俺は、昨日見た夢の詳細を伝えた。

「へぇ、やっぱりほとんど一緒ねぇ、でもあなたへの説明はかなり雑だったようね」

「えぇ、その上夢の中とはいえ、脇腹を蹴られましたから」

 それだけでない俺や人間のことを間抜け扱いしてきたのだ。

「春野さんにはちゃんと説明していたんですか」

「うーん、ちゃんとってわけじゃないけど…あっそうそう起きたときこんな本が枕元にあったの。

 先程から春野さんが抱えていた二冊の本を並べて置いた。

「ちなみに中身は全く同じだったけど、それぞれ表紙に英語とみたいな字でそれぞれの名前が書いてあるの」

 確かに英語だがKino Yuki.と書いてあるちなみに漢字で書くと鬼乗優希と書く。当然だが、苗字は周りの人に珍しがられることが多い。そしてその横にはHaruno Ami.と書か

れた本がある。違うのは書かれている名前のみで、デザインなどは全く一緒だ。

「この、魔法陣のようなものはなんでしょうか」

「さぁ、見ての通り魔法陣じゃないかしら、でも、見たことないわね。」

 普通、テレビドラマや映画で見る物は、丸や三角、星のマークからなっている物が多いと思うがこの魔法陣は少し違った。二重丸に十字が重なっているだけだ。一瞬手抜き

に感じられたが、そのマークから不思議な気配を感じたため、口に出すのは辞めておいた。

「中はさっき言った通り、一緒よ。何か図鑑のようなものみたい」

 そう言ってその魔法陣の書かれた本を手渡された。その中身を確認してみると、ほとんどのページに恐ろしい絵が書かれていて、その横や下に説明のような物が書かれてい

る、一ページ目からは、何か、説明のような物が書かれているらしいが、日本語ではないので、俺には読めない。英語なら多少勉強していて。英検の二級を持っているが、書

かれているのは、英語ではない。見た感じ、中国語でもなければ、フランス語でもない。ただ、単語の中には英語の単語らしきものも混ざってる。

「これはラテン語ね、かなり古い言葉なんだけど、もう普段使う人はいない。でも色々な記号の由来になってたりして勉強してみると奥が深くて面白いのよ」

 彼女はそう言っているが正直、語学というもの自体の楽しさが分からない俺からしたら遠い国の話だ。

「春野さんは読めるんですか」

「まぁ、多少はね、将来は考古学者になりたくて大学で歴史や考古学の基礎を学びながらいろんな言葉や、いろんな国の記号を勉強してるから。ちなみに、その一ページに書

かれている内容についてだけど。ちょっと難しすぎるというか、訛りすぎていてよく分からないの、まぁ予測出来ると思うけど、恐らくはこの本の使い方などの詳細が書かれ

ていると思うの」

「そ、そうでしょうね」

「あ、そうだ、昨日の夢で神様が言ってたことなんだけど」

「なんですか」

 俺はゴクリと固唾を呑んだ。

「『詳細はすべて本にかいてある、後は鬼乗優希とやらと力を合わせて色々な事件を解決して欲しい』っていってた」

「ず、ズコー」

「わ、分かりやすいずっこけ方ね」

「いやー、日本人ならこれかな。と思って」

「まぁいいわ、これからお互いバディね…そうだ、どうせバディなら、下の名前で呼び合わない」

 まぁ、いい考えかも知れない。慣れるまで時間がかかりそうだが。

「よし、そうと、決まれば、この本の内容の解読ね、取り敢えず家で解読作業ね、明日の放課後から手伝ってもらえないかしら」

「い、いいですけど」

 正直こんなにテンポよく決まっていいのだろうか。まだまだ謎は残っている。まぁでも前に進まなければ何も分からずじまいになる可能性が高い。仕方がないからしばらく

はこの春‥愛未さんのペースに流されるしかないか、愛未さんに聞こえないように小さくため息をつく。

あらすじにもありますが、これはお試し投稿です。

この小説は、作者が小学生の時に書いたものをそのまま上げておりますのでプロットとかは一切覚えていません。

そして至らない点も多いかと思いますが、もし続きに興味がある方感想、評価をお願いします。

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