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世界は廻る、傷が再生するように  作者: 男二九 利九男(おにく りくお)
第2章 再開
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第8話 新たな始まり

現実世界のある朝、1人の青年が目を覚ますようだ。その眼覚めは、恐らく彼にとってはいいものとなるだろう。

 現実世界、北アメリカ大陸に存在する自由国家リベルタにて・・・。「うーん・・・。」カヨたちに仮想世界で保護された、独裁国家エスペランザ下級兵の1人が目を覚ました。「ここは・・・?」寝ぼけ(まなこ)で俺は、ベッドの周りを見渡した。(ここは・・・病室か?確か俺は、青髪のチビに・・・。ダメだ、思い出せない。)俺は、頭を押さえた。「おや?目を覚ましたかい。体調はどうだい?」病室にいた40代くらいの男性医が笑顔で話しかけてきた。「え?あ、ああ、はい。大丈夫です・・・。」俺は、訳も分からず取りあえず返事をした。

 「あの先生、ここは何処ですか?俺は、どうしてここに居るんですか?」俺は、質問をした。「それは、彼女に聞いてくれ。入ってきなさい。」その声とともに、病室の自動ドアが開いた。「カレン?」灰髪(はいはつ)でボブのカレンだった。彼女とは、確かもう1人のスキンヘッドで黒人のトムと、カヨ・グレイスの仲間を抹殺せよという任務についていたはずだ。「おはよう、ジョージ。」ジョージとは、俺の名だ。

 「カレン。ここは・・・?」一番気になっていることを質問をした。「そう来るよねえ・・・。どう説明したらいいんだろう・・・。」カレンは、腕を組み考え込んだ。「・・・落ち着いて聞いてよ?」カレンは、真剣な表情で言った。「あ、ああ、分かった。」あまりの気迫に俺は、冷や汗をかいた。


 カレンによると、俺たちはエスペランザに見捨てられたそうだ。そして今、敵国だったリベルタにいるようだ。・・・聞いたときは、かなり動揺した。実際にガイさんは、俺たちを殺そうとしたらしい。・・・ガイさんいわく、用済みらしい。

 さっき話かけてきた医者によると、俺たち下級兵を含む幹部以下の人々には、エスペランザの幹部たちが操りやすいようにナノマシン、要は細胞よりも小さいロボットを幼い頃から体に入れられているらしい。それによって、記憶の改竄(かいざん)、再生能力の向上、思考・感情のコントロールをし、どんな命令にも従い、どんな環境にも適応できる人間を作り出していたらしい。

 人によっては、ナノマシンに耐性がある者もいるらしい。それが俺たち、3人らしい。ショックだが、それならば納得ができる。何故なら、俺が上司にエスペランザのやり方に疑問を述べた時、殺されかけた事があった。その時は、エスペランザのナンバー2、フェリド・ドレイクが止めてくれたが・・・。そのエスペランザに対する異常な執着も理解できる。ちなみに、ナノマシンによって改竄された記憶はナノマシンを取り除く事で戻るらしい。

 なので、リベルタはこうした人々のナノマシンを取り除き救出しているらしい。リベルタが誘拐のようにしている理由は、ナノマシンによって救助した人々が暴れて救出どころではないからだ。この活動のおかげで、数多くの人々が救われリベルタの戦力は、徐々に(そろ)いつつあるらしい。ちなみに、俺は3日間寝ていたそうだ。


 「・・・これからどうする?」俺は、真剣な表情で見つめた。「取りあえず、この国のリーダーが挨拶に来てほしいってさ。だから、トムと合流して総督室行こうか。」カレンは、そう言った。「そうか。」俺は、ボサボサ銀髪を整えるために起き上がった。そして、トイレに行き長い髪を真っ直ぐにした。「よう、お前ら。」総督室の前で待っていたトムが陽気に挨拶をした。そして、俺は総督室のドアをノックした。

 「失礼します。」それに続くように、トムとカレンは失礼しますと言った。そして、俺たち3人は部屋に入った。「あなたがルイ・グレイスさんですか?」俺は、白髪の短髪でスーツを着て椅子に腰かけている老人にそう聞いた。「うむ、そうだ。」老人は、立ち上がった。老人と呼ぶには、ふさわしくない程その人は筋肉質だった。「あの・・・。」・・・助けてくれた恩人とは言え、俺たちは元は敵国の人間だ。何と言えばいいのか分からない。

 「え?」すると、ルイさんが頭を下げた。「すまなかった・・・!」「いやいやいや!」俺は、ルイさんに駆け寄った。ルイさんは、俺たちに乱暴なやり方をとってしまって申し訳ないと思っていたそうだ。「リーダーが頭を下げたらダメですよ!」この状況に俺は、少しパニックになった。それを見て、トムとカレンは俺の後ろで苦笑いをしていたらしい。


 数秒たって・・・。「・・・見苦しいところを見せたな。」ルイさんは、コホンと咳払いをした。「いえいえ・・・。」俺は、苦笑いするしかなかった。「助けてくれてありがとうございました。」今度は、俺が頭を下げた。すると、ルイさんは左手を伸ばした。「これで仲直りだな。」ルイさんは、満面の笑みを浮かべていた。俺も満面の笑みでルイさんと握手をした。「はい!」これで俺は、敵国だったリベルタと和解した。

 ルイさんによると、ここリベルタでは救出した人々に仕事を与え、安定するまで生活の支援をしているらしい。俺は、これからこの国で軍人として働くことになる。俺は、とても嬉しい。何故なら、奪う側としてではなく、救う側として活躍できる。そして、何よりも俺として活躍のできるのだから―――。

ついに始まる新たな物語。この話の彼らと同じように、カヨたちも新たに物語を始めようとしていた。

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