レンタルレコード店
音楽を聴きたければ
ネットでダウンロードする時代
三十年前の大昔は
インターネットなど無かった
当時は
レコード店で
レコードを買って
自宅のプレーヤーに針を置き聴く
またはカセットテープに録音された物
を買いカセットデッキで再生して聴く
若しくは
レンタルレコード店で借り
カセットテープに録音してから聴く
借りたレンタルレコードを返す
この方法で音楽を愉しめたもの
中学生くらいに成ると
耳も肥えて色々なモノやジャンルに
興味津々に成る
聴きたく成る年頃で
そうは毎回一枚三千円くらいの
レコードは買って居られない
そんなお金も無い
姉からの口コミで
あるレンタルレコード店を知る
とても広いとは言えない
開きドア一つの出入り口が
居酒屋の隣にある
早速借りようとお店に入る
狭いながらも
レコードは半端な数では無かった
とてもワクワクした瞬間
会員制のレンタルレコード店
初回会費500円だけ
あとは借りる日数に応じて
金額が決まって居る
新作は高めだった
一泊二日でも250円
セールの日は150円〜200円
中学生には嬉しい価格
でもこれだけでは終わらない
折角借りても
また聴きたくなったら
借りなければならないので
カセットテープに録音をするために
そのテープも買う
安くても当時では500円前後
二枚も借りれば合わせて千円に成る
借りても週一のペースにしようと
心に決めるも人間は欲の塊
それが耳の肥えた中学生なら
毎日のペースに成っても仕方ない
せめて三日に一度
週二のペースで落ち着いた
借りれば返す
その繰り返しで
二日おきに店に通う
洋楽専門で借りて
顔馴染みにもなる
たまに昔の日本のモノも借りる
新鮮でこれはこれで違う世界観
数ヶ月も通い続ければ
飽きてくる
違うジャンルにも挑戦してみる
ジャケットアートで決めるか
左側の歌詞カードに解説してる人の
帯のオススメの言葉を信て借りるか
ギャンブル的にも成って居た
ハズレもあり大当たりもあった
今のようにネットで
視聴が出来ないので
こうして選ぶ他はなかった
もっと常連になれば
視聴もさせてくれる
でもそこは中学生
我慢をする
出しゃばり生意気な子供を
晒してはいけない
時は流れ
CDの時代へと突入するも
店は儲かって居たらしく
近隣のテナントへ広い店舗に
移転して居た
レコードとCDが
両方置いてあった
以前とは違う全く違うお店に
様変わりして居た
店が変わって
以前のほっこりした空間と
サービス形態も変わって居た
少しお客も減ってきたようだ
CDと言う最先端な技術の
時代の煽りを感じた時
少ししてお店に行ってみた
休業中の立て札
どうやらCDの出現と
そこの店主の高校生の息子さんが
交通事故で亡くなったのが訳らしい
一週間ほどして店じまいの張り紙が
貼ってあった
やはり時代の流れでやっていくのは
厳しかった模様
閉店セールで一ヶ月経過して
その店は無くなった
通い始めて初めて入店した時の
ワクワク感
知らないアーティストを初めて
借りたドキドキ感
より一層音楽を好きになった
きっかけを作ってくれた
レンタルレコード店
お店があった
そこを通る度に思い出す